第2回公判の午前中に証人出廷したAさんは、稀華ちゃんが亡くなった日、警察から『梯被告の様子を見ていてほしい』と頼まれ、ホテルで梯被告とともに過ごした。被告本人が記憶のない部分を、Aさんは、小さい声で、次のように語った。
風呂場に血のついた剃刀が
「風呂に入った時、なかなか出てこないので様子を見に行ったら、(被告は)服を着たまま湯船につかっていて、血のついた剃刀が置いてありました。
その後『親に電話するからひとりにしてほしい』と言われて、20分ほど外に出ましたが、絶対何かあると思い、出かけられないように、僕が彼女のサンダルを履いて外に出ました。でも戻ると部屋には誰もいなくて……」(Aさんの証言)
Aさんからの通報を受けた警察がその後、裸足のまま、歩道橋の上に立っている梯被告を発見した。Aさんは離婚後、定期的に梯被告に生活費を渡していたというが、鹿児島に行っていたことは知らなかったという。
3歳だった稀華ちゃんをひとりで部屋に残したまま、遠く鹿児島に出かけていた梯被告は、自分がゴミ袋に入れられ、風呂場に閉じ込められていた時の気持ちを弁護人に問われ、こう振り返っていた。
「怖いという気持ちと、辛い……悔しい……苦しくて……でも、何も言えなかったです」
弁護側被告人質問からは、過去の虐待被害経験により、梯被告の「流されやすく、断れない」人間性が形作られたように見えた。1月31日に行われる検察側被告人質問では、被告のどのような面が明らかにされるのだろうか。
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