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去年の“夢心地”とは違う、”普通のプロ野球ファンの一喜一憂”を満喫する2022年オリックスの夏

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/08/21

 お盆を過ぎ猛烈な暑さも多少和らいできた日本列島だが、終盤戦に入ったプロ野球パ・リーグは激烈な優勝争いがさらにヒートアップしている。

 昨年の雪辱を果たすべくWILD WILDユニフォーム(この獰猛なデザインは本当にかっこいい!)に身を包んで投打に躍動する西武ライオンズ。主力の不調・故障・離脱に苦しみながらも圧倒的な選手層で猛追するソフトバンク・ホークス。一流選手をこれでもかと結集させた豪華な布陣で挑む楽天ゴールデンイーグルス。

 選手名鑑を眺めているだけではとても太刀打ちできそうにない強力なチームたちを相手に今年も我らがオリックス・バファローズは互角の戦いを繰り広げている。残り30試合前後だというのに優勝だって望みはあるしAクラス争いは十分すぎるチャンスがある。昨年のリーグ覇者なら当たり前の成績、と思われる方もいるかもしれないが多分オリックスファンの多くはそうは思っていない。今年のオリックスはここまでお世辞にも「順調なシーズン」とは言えなかったからだ。いやむしろ誤算だらけのシーズンという方がしっくり来る。

 

手痛い誤算もあったが嬉しい誤算もあった

 コロナ禍については全球団一緒なので割愛するが、それ以外の誤算がオリックスには大問題だった。

・杉本ラオウ裕太郎、紅林弘太郎の「実質2年目のジンクス」による絶不調。
・外国人野手3人が痛恨の全員期待外れ。
・吉田正尚故障離脱。
・T-岡田の絶不調による長期離脱。
・期待の若手野手である太田椋、来田涼斗、佐野皓大、西村凌らの伸び悩み。
・山﨑颯一郎、漆原大晟、富山凌雅ら若手投手陣の不調。

 投手陣にも幾つかの手痛い誤算はあったが根本的には野手陣の層の薄さに起因する多くの誤算により今年前半のオリックスは慢性的に得点力を欠き、なかなかチームに勢いがつかなかった。だが中嶋監督は悪戦苦闘一進一退七転八倒しながらも打つべき最善手を打ち続け、その執念の采配の中から「嬉しい誤算」も徐々に目立つようになっていく。

・無敵の中川圭太、完全復活&三番定着。
・山岡泰輔、近藤大亮、黒木優太の完全復活。
・若月健矢がついに打撃開眼。まさかの3割突破。
・大城滉二、西野真弘、山足達也ら中堅の躍動。
・本田仁海、阿部翔太、宇田川優希、椋木蓮、東晃平の台頭。

ドラマチックではなくとも優勝の希望は十分に持てる

 すでに「無敵の育成スパイラル」に入りつつある投手陣には次々と新星が現れファンを魅了してくれたし、野手陣も層は薄いながらも吉田正尚、ラオウ、宗佑磨、福田周平、紅林ら中心メンバーがある程度復調し一時期の絶望的状態からは脱したことで投打の歯車が噛み合い出し、ジワジワと順位を上げて行った。そんな初夏。

 その後もオリックスは一進一退の攻防を繰り広げ、夏がそろそろ終わろうかという現在も優勝戦線に何とか踏みとどまっている。

 今年ここまでをざっくり振り返れば、ラオウ、宗、紅林など主力が一気に開花した昨年に比べれば野手陣に大きなサプライズはない。ドラフトも即戦力とはならず助っ人補強もうまくいかずライバル球団と比較すれば得点力は大きく劣る。逆に投手陣は育成が順調に進み今年も期待の新星が次々と出現しチームに活気を与えてくれている。

 チーム全体としては優勝した昨年ほどはドラマチックにいかず、でも優勝の希望は十分に持てる位置につけている。そんな2022年晩夏、僕がしみじみ感じていることは、

 僕たちオリックスファンは約20年ぶりに「普通のプロ野球ファン」に戻れたのではないか。

 という感慨だ。

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