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落胆もワクワクも…日々のオリックスに一喜一憂できる

 昨年の優勝までのドラマチックすぎる半年間は、僕を含め多くのオリックスファンにとってなかなか現実感のないまさに「夢物語」だったように思う。「僕たちのオリックスにもこんな日が来るんだ!」というのが正直な気持ちだった。

 だが優勝の実感をきちんと消化した今年の僕は、2020年8月20日以前の僕とは全く違うオリックスファンに変化していることに気づいた。

 勝ったら嬉しいし負けたら悔しい。でも以前の記事でも書いたようにそこにチーム方針への不満などない(不安はたくさんあるが)。またシーズン中にオリックスが3位になったからといって満足感などない。目標は優勝・日本一だからだ。

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 期待の選手たちの不調・故障・離脱に落胆はするが、それと同じ頻度で発生する意外な選手の活躍やプロスペクトの抜擢、一軍昇格にワクワクする。そしてシーズンが開幕し、初夏を迎え、お盆を過ぎ、晩夏を迎えても日々のオリックスの戦いに夢中になり一喜一憂している。

連覇の胴上げを夢見ながら、一喜一憂を満喫する

 そう、これは別に特別なことなどではなく極めて真っ当で普通のプロ野球ファンの日常に過ぎない。12球団あれば毎年8球団くらいの日常。ほとんどのチームのファンは不調の年はあれど定期的に優勝争いやCSを楽しみ「普通のプロ野球ファンの一喜一憂」を感覚的に理解している。だが僕たちオリックスファンはあまりに長い暗黒期のせいでこの感覚を忘れてしまっていた気がするのだ。少なくとも僕は完全に忘れていた(笑)。

 新生オリックス・バファローズはこの2年間で確実に強くなった。僕たちファンにとって応援しがいのある魅力的なチームであることは間違いない。だが今のオリックスの戦力で強豪ひしめくパ・リーグの優勝戦線に毎年のように残れるのは間違いなく中嶋監督の力だ。今のオリックスは「どんな監督がやっても常時優勝争いできる圧倒的戦力を有するチーム」などでは断じてないことは多くのオリックスファンが感じていることだと思う。

 まだまだ課題山積で発展途上の中嶋オリックス。でも僕たちオリックスファンはただ夢心地だった昨年とは違う久しぶりすぎる「普通のプロ野球ファンの一喜一憂」をこの夏満喫している。その幸せを日々噛み締めながら、今日もベンチの奥で七転八倒を繰り返す名将・中嶋監督とオリックス・バファローズ2022年の戦いを最後まで見守りたい。パ・リーグ連覇の胴上げを夢見ながら。

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