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「ギャラリーの外で待ち伏せ」「性器の写真がDMで送られてきて…」50歳で“自撮り”作家へ 女性写真家(56)が語る“セクハラ被害の日常”――2022年上半期BEST5

マキエマキさんインタビュー #1

2022/08/27
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マキエ そういう人はいます。ギャラリーに来て、作品を買わないのに、粘着して自分の話ばっかりする人は困っちゃいますね。買ってくれても、後からSNSで性器の写真を送ってくる人もいて。しかも「先程購入した写真集で抜かせていただきました」なんてお礼まで丁寧に書いてある。 

 あとは、ギャラリーで出待ちされて、「マキエマキさんですよね」って来られたこともあって、「ヒエ~」ですよ。すぐにギャラリーに戻って、しばらく外の様子を見てからギャラリーのプロデューサーに駅まで一緒についてきてもらいました。 

ーーギャラリー・ストーカーって、どのあたりの年代が多いのでしょう。 

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マキエ だいたい同年代が多いですね。ほんと、普通のサラリーマンって感じの人たちですよ。目立つわけでもなく、話しかけられても、離れた瞬間に顔を忘れちゃうような。 

ーーSNSになると、さらにすごそうですね。その手の連中としては、お金も掛からないし、時間にも縛られないし。

マキエ 去年の7月ぐらいまでは、Facebook、Twitter、インスタ全部でそういうことが多かったです。いきなり、「ブチ込みたい」という言葉と一緒に性器の写真を送られたりして。最初は「この野郎」と思ってましたけど、いまでは報告して、ブロックしてと、オートマティックに対応しています。 

 

ーーFacebookだと実名登録がベースだから、写真送ってくる人は身バレしますよね。 

マキエ もう、実名で来ますよ。堂々としたもんですよ。「何番に電話ください。会いたいです」って書いてきた人のアカウントをチェックしたら、奧さんと一緒にプチトマトを持ってニコニコしてる写真が載ってて。「今日は家庭菜園でトマトが採れました」なんて投稿していて「ヒエ~」ですよ(笑)。 

 最初はゾッとしましたけど。あまりに多すぎて慣れてしまった(笑)。デフォですよ。だから、そのへんを歩いてる、いわゆる普通の男性のほとんどが「そうなんじゃないか」って。そう思ってしまうほど多いんです、そういうことが。 

 おそらくそういう人は、男性相手だとそういう面を表に出さないんだと思います。だけど、対女性になると躊躇なく出してくる。 

SNSでのセクハラがガタッと減った、意外な「対抗策」

ーー「去年の7月ぐらいまではSNSでのセクハラが多かった」ということは、それ以降は減ったわけですよね。なにか対抗策を打ったのですか? 

マキエ これが面白いんですけど、昨年7月までは「自撮り熟女」というキャッチフレーズを自分につけてたんですね。Twitterも「マキエマキ@自撮り熟女」ってアカウントにしてたんですけど。その「自撮り熟女」を外した途端に、そういうのがガタッと減ったんですよ。 

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