ーーすべて片付けてからというのは、性格ゆえのお考えでしょうか。
堀 やっぱり、終わらせてから手術はしたかったですね。あと、ステージ4と言われて腹をくくったというか。11時間くらいの大手術だったんです。最初の説明では14時間か15時間は掛かると説明を受けたし、「はっきり言って、深刻な状況です」とも言われましたしね。
けれど、意外と冷静で「じゃあ、仕事どうしよう。レギュラー番組は、どこまでやったほうがいいのかな」なんて考えて。がんの告知を受けた日も仕事があったので、病院には黙ってレントゲン検査までの間に仕事を2本して、打ち合わせも2つこなして、スポーツ新聞とかの取材まで受けて。それで、また病院に戻りました。
がんをブログで公表した後の、思わぬ反応
ーー手術の3日前、2019年2月19日にブログで舌がんであること、手術を受けることを報告されました。
堀 レギュラーもやっていたし、ブログもやっていましたから。黙って入院して、急にテレビに出なくなる、急にブログも上がらなくなったら、変な噂が立ってしまうなって。
それに、舌を6割以上切除して、太腿の皮膚を移植したら、もう普通の喋り方はできない。どこかで説明しなくちゃいけない。じゃないと「何があったんですか?」と、メディアの取材が家族に向かいますよね。私が助かっても助からなくても、家族は大変な思いをするから、ちゃんと説明をしたほうがいいなって思ったんです。
ーーブログには応援のコメントが数多く寄せられましたが、言葉にするのがはばかられる誹謗中傷も書き込まれていました。
堀 みんな、がんは怖いですよね。私もステージ4の末期と診断されて、「もう駄目だ」と思ったし。そういった恐怖が裏返しになって、ああいった反応があったんだと思います。
手術が無事に終わると、「あの人、がんなのになんだって平気なの?」って、病気にへこたれない者に対して、妬みみたいなものが生じてくる。さらに、「えー、抗がん剤を打ってないの?」っていう、がんになったら抗がん剤を打つものだという思い込みや決めつけ。口腔がんの場合は抗がん剤を打つよりも、手術での切除が一番効果があるんですが、知られていないんですよね。
そこから、「商売のためにがんを装っている。悪人だ」とまでなってしまう。「悪人を成敗してやる」という大義名分を掲げて憂さ晴らしをするのは、さすがにね……。
ーー某掲示板に堀さんに対する中傷や脅迫の言葉を書き込んだ男性の初公判が、6月末に行われましたね。