「神待ちサイトで出会った男性は奇跡的にいい方で、肉体関係を要求してくることもなく、ただ、食事と寝場所を提供してくれて、『とにかく、お母さんと会ったほうがいいよ』と親身にアドバイスをしてくれた。それで、実は父親が探し当てたお母さんの連絡先をこっそりメモしていたからお母さんと連絡を取ったら、お父さんが捜索願いを出してるよって教えられたんです(笑い)。でも、どうしても、父親の元には帰りたくない、お母さんの家に行きたいって言ったら『お母さんは再婚をしているから預かれない』って言われて」
母親にそこまで言われてしまったら、もうどうしようもない。彼女は母に頼み込み、父の説得をしてもらい、東京で一人で暮らすことを許可してもらった。母親は、一緒に暮らしてはくれなかったが当座の一人暮らしの資金を援助してくれたという。
もちろん、仕送りなどない。とにかく衣食住を確保するため、ファミリーレストランで働きながら、福祉をたより、家賃と学費を補助してくれる制度の下で、介護士の資格を取得するための勉強を始めた。
「鈴木葵」が「“ホス狂い”あおいちゃん」になるまで
ファミレスでは正社員を目指していたが、高卒の資格が必要だった。それを知ったあおいさんはほかの飲食店に転職し、区が主催する「介護職員初任者研修」に通い始める。家と職場、学校の往復というストイックな日常を送っていた彼女だが、大人びているとはいえ、まだ17歳の少女。生活に慣れてくると「遊びたい」気持ちがわいてくるのは当然のことだろう。
「その頃の職場が池袋だったんですけど、居酒屋で夕飯がてら一人飲みしていたら、年上のお姉さんにナンパされたんです。彼女は年上で、確か、当時で20歳を超えていた。風俗で働いていると言っていて、その彼女が筋金入りの“ホス狂い”だったんです」