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「そんなことを言うなら死ね」ゴミ屋敷・虐待・いじめ・家出のすべてを経験した「ホス狂いYouTuberあおい」の超壮絶人生

『ホス狂い〜歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る〜』 #2

2022/08/20
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 チャンネル登録者は10万人超え。「ホスト巡り」動画で人気を集めるYouTuber「ホス狂いあおい」が誕生するまでには、実母の蒸発や、祖父の暴力など壮絶な人生があった。

 彼女が歌舞伎町のホストクラブの3分の1(100店舗)を制覇するまでを、フリーランス記者の宇都宮直子氏の新刊『ホス狂い〜歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る〜』より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/#1#3を読む)

「ホス狂い・あおい」になるまでの人生とは?(写真:ホス狂いあおいさんのTwitterより)

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ゴミ屋敷・虐待・いじめ・家出──凄絶な半生

 ホス狂いYouTuberのあおいさんが「歌舞伎町」にたどり着くまでには、ハードな紆余曲折があった。

 あおいさんは1996年、静岡県熱海市で生まれた。鍼灸院を営む父に、専業主婦の母。両親は彼女が生まれて間もなく離婚。親権は母親が持ち、あおいさんは、母親とともに母方の祖父母の元で暮らすはずだった。しかし、その母は出奔した。あおいさんが引き取られた頃にはすでに末期がんを患っていた祖父は彼女が3歳の頃に死去し、祖母との二人暮らしが始まった。祖母は悪い人ではないものの、生粋のパチンコ好きだった。そのうえ片付けも苦手だったのか、自宅はゴミ屋敷だったという。

 幼いあおいさんは、日々、朝から晩まで、ひとり公園で過ごすことが多くなった。そのため、すぐに児童相談所が介入し、福井県に住む実父か、子供のいない実母の兄夫婦か、どちらかが引き取ることになる。しかしいざ、あおいさんのこれからを決めるという話合いの当日もまた、母親はこなかった。蒸発中のため、連絡が取れなかったのだという。母親不在のままにあおいさんの「未来」は決まり、彼女は、苗字も変わり、養子となり、伯父夫婦のもとに身を寄せることとなった。小学校1年生の時だった。

 結論からいえば、新しい家族とはまったくうまくいかなかった。「詳細はあまり語りたくない」(あおいさん)というが、特に、伯父の妻からは、口答えをするたび「そんなことを言うなら死ね」とののしられ、時には手も出るなど、思い出すのも嫌なほどの虐待を受けたという。引っ越しの多い家庭だったため、転校を繰り返すこととなり、小学校にもなじめない。小学校4年生の時、9歳にしてついに、初めての家出をする。

「自力でお父さんを捜しに行きました。もともと、伯父夫妻は私の父と連絡を取っていたから、お父さんの電話番号や住所、連絡先は知っていました。鍼灸師だったお父さんは私が家出をした時、本当に偶然に、熱海の介護福祉施設にいて、会うことができたんです」