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 そもそも中居は、《どんな仕事でも常に不安はあるし、けっして自信があるわけではありません》として、長年レギュラー出演してきた『笑っていいとも!』(フジテレビ系)ですら《ノリでやっているように見えるかもしれませんが(笑)、実はけっこう緊張しているんですよ》と、かつてインタビューで明かしていた(『婦人公論』2012年4月22日号)。それでも、安心すると気の緩みから初歩的なミスを犯したりするので、むしろ緊張感があったほうがいいと語り、《プレッシャーを乗り越えるために一番大事なのは、準備をすること》とも述べている。

憧れの存在は、笑福亭鶴瓶とタモリ

 この点、中居と共演の多い笑福亭鶴瓶は対照的である。2人で2001年の番組開始よりMCを務める『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)の放送曜日が変わる際のインタビュー(「WEBザテレビジョン」2017年3月22日配信)では、中居から《台本を全部覚えてきてほしい》、《せめて大体のトークの流れとかは頭に入れといた方がいいんじゃないですか?》とたしなめられた鶴瓶が、《台本あると緊張すんねん。今日、番組で何をやるのか把握してない司会者って面白いでしょう?》と開き直った。

 ただし、鶴瓶はそのあとで、自分がそんなふうに振る舞えるのも《僕に代わって中居が全部しっかりやってくれるから、この番組だけは僕は何もやらんでいいなと思ったんですよ》と、中居あってこそだと認めている。これに対し、当の中居は《僕もいつかはべーさんやタモさんみたいに、台本がなくても自由に面白いことを言える人になりたいですし、面白い番組を作れるようになりたいですよ。でも今はまだ、台本覚えないなんて考えられない!》と、ぼやきとも嫉妬ともつかない言葉で返しているのが興味深い。

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©文藝春秋

 ここで鶴瓶とともに名前が出てきたタモリも、司会者としては事前にしっかりと準備するタイプではない。31年半続けた『笑っていいとも!』では、途中から番組進行をほかのレギュラー出演者にほぼ任せている。そのなかでもとくに頼りにしてきたのが、鶴瓶であり、中居であった。

「苦手な人や嫌いな人をなくすようにした」

 中居としても、タモリや鶴瓶からMCとしての現場での振る舞い方を教わってきたという意識が強くある。スタイルこそ違うが、心構えといった部分では学んだことは多かったのだろう。たとえば、ある記事(『AERA』2013年9月16日号)で彼は、仕事が私情で左右されるのを良しとせず、そのために苦手な人や嫌いな人をなくすようにしたと述べたうえ、《感情を安定させていたい。それは喜怒哀楽を出さないとか感情を押し殺すとかという意味ではなくて、いつでも相手の言葉を引き出したり、人の気持ちを受け入れたりできるということ。バラエティーでもお芝居でもそれはずっと心がけてきましたね》と語っているが、このあたりは鶴瓶やタモリとも通じるものを感じさせる。

 中居の司会のうまさには、SMAPのブレイク前夜から定評があった。ただ、本人に言わせると、自分は司会をやりたいのだということが明確になったのは、さまざまなジャンルの仕事を経験してきた末、30歳を迎える頃にようやくであったという。