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40代の終わりに降りかかった災難

 SMAP解散から5年あまり、独立してからも2年半が経とうとしている。この間、新番組もいくつか立ち上がったが、『中居正広のキャスターな会』(テレビ朝日系、旧題『~ニュースな会』)のようにタイトルを変えながらも継続する番組がある一方で、残念ながら短期間で終わってしまったものもある。20年以上続く『ザ!世界仰天ニュース』や『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系、旧題『~金曜日のスマたちへ』)も、以前とくらべると視聴率に陰りが見える。中居としてはここが踏ん張りどころといったところだろうか。

 折しも50歳になる目前には、2011年より毎夏放送されているTBS系の大型特番『音楽の日』で、今年も安住紳一郎アナウンサーとともに総合司会を務める予定が、虫垂炎のため急遽降板せざるをえなかった。彼の几帳面な性格を考えると、どこかで無理をしていたのかもしれない。

©文藝春秋

 幸いこのあと無事に復帰し、今月にはラジオで2週にわたり、入院したときのことを報告している。そのなかで、『音楽の日』で代役を務めた江藤愛アナウンサーや番組スタッフには迷惑をかけたと詫びつつ、音楽番組の司会はアーティストに気持ちよく歌ってもらうのが前提であり、終わったあとに「司会、誰だったっけ?」と視聴者に思わせるぐらいが理想だと持論を披露すると、その意味で今回の同番組は自分が休んでいることすら忘れさせるほど大成功だったと褒め称えた(『中居正広 ON & ON AIR』2022年8月13日放送分)。

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 MCのスタイルは番組によって違ってくるのだろうが、『キャスターな会』でも、ニュース情報番組であるこの番組ではまず何より解説する人の話を聞くのが前提だと意識してか、中居は進行役に徹している。それは、先述のように「いつでも相手の言葉を引き出したり、人の気持ちを受け入れたりできる」よう心がけてきた彼が見つけた一種の美学ともいえそうだ。今回の入院は40代の終わりにとんだ災難であったが、その分、50代が中居にとってさらに充実したものとなることを祈らずにはいられない。