採るだけでは終わらない…
収穫した葉を携え、幅3メートル、奥行き20メートルほどあるウナギの寝床のようなパイプハウスに向かうと、奥には1台の機械があった。茂木さんが説明をする。
「4~5メートルの縄に葉たばこを80枚ほど縫い付けてぶら下げるんですけど、この機械は縫い付けるためのミシンなんです。これを使うのは葉たばこ農家だけでしょうね。じゃあ、やってみましょうか」
茂木さんの手ほどきのもと坂上がミシン台の上に葉を並べていく。ミシンを作動させると縄が動き出し、葉たばこを縫いあげていく。並べる坂上と機械を操作する茂木さんの流れ作業。10分ほどすると1本編みあがった。
最盛期は夜中まで…「でも、前までは手作業だったんですよ」
「吊す作業は収穫をしたらその日に必ずやらなければいけない作業なので、最盛期は夜中までかかることがありますね。でも、これでもずいぶん楽になりました。十数年前までは手作業だったんですよ、1日100本は編む職人さんみたいな人がいてね。坂上さん、せっかくだから手編みもやってみますか?」
と茂木さん。にやっと笑って坂上は「ぜひ、やらしてください!」と返した。自分が収穫してきた葉たばこがまだ3分の1ほど残っている。
茂木さんにやり方を教わりながら、坂上は黙々と編んでいく。作業すること10数分、「編みあがりました!」と悪戦苦闘の末、2本目が完成した。
乾燥の工程は、まず葉を黄色くさせる“黄変”、さらに熟成させる“褐変”、そして“仕上げ”といった段階を経て、出荷となる。茂木さんいわく、乾燥と熟成の作業こそが葉たばこ栽培の醍醐味だという。
勝負は「最初の3~4日でだいたい決まります」
「機械などは使わず、バーレー種はすべて自然乾燥。腐らせることがないように1日に何度も天気や湿気の様子を見て、毎日のように熱を入れたり、湿気を抜いたり調整をするんです。