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 永山基準では次の9つの指標を総合的に勘案して、死刑の是非を問うことになる。(1)犯行の罪質 (2)動機 (3)態様、とくに殺害の手段方法の執拗性・残虐性 (4)結果の重大性、とくに殺害された被疑者の数 (5)遺族の被害感情 (6)社会的影響 (7)犯人の年齢 (8)前科 (9)犯行後の情状。なかでも殺害手段の残虐性や被害者数が特に重要とされている。

 問題となるのは被害者が1人や2人の場合だ。殺人事件は裁判員裁判の対象となるので、基本的に国民から選ばれた裁判員が判断することになる。悲痛な思いを抱える被害者や遺族の言葉に耳を傾け、裁判員らが苦渋の死刑選択をするのだ。しかし、2審の職業裁判官が永山基準を根拠に無期懲役にするケースが相次いでいる。

 例えば2014年9月、神戸市長田区の路上で、男が小学1年の女児にわいせつな行為をする目的で声をかけて自宅に連れ込み、首をロープで絞め包丁で刺して殺害し、遺体を切断して遺棄した事件。1審神戸地裁は「犯人の動機、態様だけでも生命軽視の姿勢が甚だしく顕著だ」として死刑を言い渡した。しかし、大阪高裁は1審判決について「計画性のなさを不当に軽視した」とした上で、永山基準に基づく量刑傾向を踏まえて無期懲役とすることとなった。

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新潟7歳女児殺害事件は1審・2審ともに無期懲役

 今年3月17日に東京高裁の被告人席で無期懲役を言い渡された小林遼(はるか)被告(27・判決時)も同様に残虐な事件だった。当時7歳の女児をわいせつ目的で誘拐し、殺害した。検察は1審、2審ともに死刑を求刑したが、裁判所が認めなかったケースだ。

 両判決文によると、小林被告は2018年5月7日午後3時、新潟市西区の路上で下校中の女児にわいせつな行為をしようと考え、背後から運転する軽乗用車を衝突させた。転倒した女児を抱きかかえて車の後部座席に乗せると、首を絞めて気絶させている。そして、広場の駐車場まで運転をし、女児のズボンとパンツを脱がせて、膣内に指を挿入するなどした。

女児の遺体発見現場付近に手向けられた花束と、JR越後線を走る電車 ©時事通信

 さらに、女児が目を覚まして悲鳴を上げると、首を再び絞めて窒息死させたのだ。その後、遺体をJR東日本越後線の線路上に置き、電車に遺体を轢かせて顎部を離断させるなどして損壊させている。携帯内に児童ポルノ動画を保存していた児童ポルノ法違反罪にも問われた。