「女の子の陰部を触れているといった達成感を感じていた」
傍聴していた司法担当記者が解説する。
「被害者は1人ですが、近年稀に見る残虐な事件でした。捜査段階では被害者の生前にもわいせつな行為をしていたことを自白していたのですが、公判段階では覆すなど、犯行後の態度も良いとはいえませんでした」
判決文によると、女児の陰部と肛門には、生活反応のある傷(生きている段階で負った可能性が高い)があった。この件について、2016年10月の検察官による供述調書にはこう記載されている。
「被告人は、広場の駐車場に車を止めてエンジンを切った後、靴を脱ぎ、運転席から後部座席に車内を通って移動し、後部座席のシートの上に正座かあぐらで座った。そして、足下にうつ伏せで横たわったまま気絶している被害者からランドセルを外し、ズボンとパンツを被害者の膝くらいまで下ろしたが、その際、被害者のズボンとパンツが濡れていると感じた。被害者を回転させて仰向けにして、その陰部を上から表面的になでるように触り、さらに、膣の中に左手の人差し指か中指を入れて、5回くらい出し入れした。そのとき、女の子の陰部を触れているといった達成感を感じた。膣を出し入れしていた最中に、被害者が、上半身を起こし、意識を取り戻し、ギャーと大きな声を上げながら泣き出したので…(略)」
“未必の故意”に基づく殺意を認定しながらも「無期懲役」は覆らず
このように具体的に生前のわいせつ行為について自白したものの、公判では「広場ではわいせつ行為をしていない」との主張に転じた。これに対して、1審、2審では、裁判所は公判供述の不自然な変遷を指摘するなどして、捜査段階の供述を信用できると判断し、生前のわいせつ行為そのものは認定している。
そんななか、2審の裁判の大きな争点となったのが、殺意の有無だった。
「検察側は、『女児の首を3分以上絞めており、犯行を隠すために強固で確定的な殺意があった』と主張、一方の弁護側は『気絶させるためで殺意はなかった』と反論しました。しかし、裁判所は『死ぬかもしれない』と認識していたという“未必の故意”に基づく殺意を認定しました」(前出の司法担当記者)
にもかかわらず、無期懲役は維持されることとなる。愛する娘を小林被告の残虐な犯行で失った母親が、涙ながらに「人を人と思っておらず、欲望のままに娘を餌食にした。被告人にふさわしいのは死刑しかない」と訴えた思いは届かなかった。
以下、判決文から死刑を回避した理由について抜粋する。