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「プリクラ帳、持ってきたよ!」と、見せたときにまわりの空気が一変しました。わたしは凍りつきました。

「えっ、なに? ひとりプリクラだし変なノート。おばあちゃんの? なにそれおかしくない? キモい……」

 あっ、間違えてしまった、やらかしてしまった、と背筋が冷たくなった瞬間を覚えています。

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 ちょっと空気が読めなかったり、ちょっと変わっていたり、ちょっと変だったり。

 それは、個性としてではなく、キモい、とカウントされてしまうのです。

 たとえば、自分があまり知らない話題で盛り上がっているとします。それでもうまく話に乗っかって立ち回れないと、たちまち輪からはずされてしまいます。

 わたしはそれが下手でした。恋愛の話やアイドルの話にうまくついていくことができませんでした。相手の好みに合わせてうまく振る舞うことができなかったのです。わからない話題を振られてアワアワとしてしまうことが何度もありました。

 気づけば、となりの席の目立つ子はたちまちクラスのボスグループに。

 そして、最初からしくじったわたしは挽回するチャンスも見つけられずに、あきらかに立ち位置が最下層になっていきました。

 わたしは幼い頃から、漫画やアニメ、ゲームが大好きでした。母が働いていたので、ひとりの時間をその好きなことに使っていました。夢中で絵を描く時間が好きでした。時間を忘れて明け方になってしまうこともたびたびありました。でもそれは自分にとっては普通のことで、それが変わったことだと思っていなかったのです。

 小学校の時はそんなわたしをみんなが受け入れてくれていたので、中学になるまでそれが変わったことだという認識はまったくありませんでした。

 でも、中学のそのクラスでは、自分の机でひとり絵を描いているわたしは、キモい存在として冷ややかな視線を浴びることになりました。

©iStock.com

「あいつ絵ばっかり描いててオタクじゃね? キモいんだけど」とボスグループの子たちから陰口を言われるようになるのに、そう時間はかかりませんでした。

「オタク」。いまでこそ、この言葉は一般的になりましたが、当時、「オタク」であることはすなわち「キモい」ことだったのです。

 クラスではボスグループが「絶対」で、ボスが「キモい」と言ったことで、わたしは完全に「キモい子」というレッテルを貼られました。それまで普通に話していた子たちも、だんだんわたしから距離を置くようになっていきました。

 もしかして、わたし、いじめられてる……?