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ガッとふすまが開いて、ボスグループのひとりが吐き捨てるように…中川翔子を苦しめた“理不尽すぎる”いじめ体験

『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』より#1

2022/08/31

source : 文春文庫

genre : ライフ, ヘルス, 教育, 社会, 経済, 読書, 芸能

note

 いやいや、思い描いてた憧れの中学生活とはかけ離れてる、こんなの違う、わたしがこんなふうになるなんて嫌だ!

 わたしはまわりからどう見えてるんだろう?

 恥ずかしい!

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 不安と恐怖がぐるぐる頭と心を支配するようになりだしたのです。

自分の好きなことを否定された修学旅行

 中学2年の秋の修学旅行での出来事はいまでも鮮明に覚えています。

 宿泊先の部屋で、わたしは同じように絵を描くのが好きな子と、大好きな漫画の絵を描いていました。ルーズリーフに好きなキャラを描いた絵を交換するのがその頃のオタクグループのトレンドで、ワクワクする大事なことでした。

 すると突然、ガッとふすまが開いて、ボスグループのひとりがいきなり吐き捨てるようにこう言ったのです。

「絵なんて描いてんじゃねえよ! キモいんだよ!」

 彼女はそれだけ言うとピシャッと乱暴にふすまを閉めて出ていきました。

 世界が真っ暗になりました。

「なんで? ただ絵を描くのが好きで、静かに楽しんでいるだけなのに……」

 自分の好きなことをいきなり否定されて、わたしはわけもわからず混乱していました。

「誰にも迷惑かけてないのに。なんでそんなことを言われなきゃいけないの!?」

 でもその気持ちは誰にもぶつけることができませんでした。そしてだんだん悲しくなってきました。

 静まり返った部屋で、その子と静かに絵をカバンにしまい、黙って過ごす悲しい時間になりました。

 そんなふうに言われるくらいなら、いっそのこと絵を描くのをやめてしまおうかとも思いました。だけど、やっぱり納得がいかない。

 大好きなことをやめてしまったら、「わたし」は「わたし」でなくなってしまいます。

 わたしは、人に見られないように家でこっそり絵を描きました。

 学校ではわたしが好きなことをしているのを見られると、キモいと思われる。学校に行くのがとても苦痛になった時期でした。

ガッとふすまが開いて、ボスグループのひとりが吐き捨てるように…中川翔子を苦しめた“理不尽すぎる”いじめ体験

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