それに、ワンちゃんもいるじゃないですか。動物病院もひとつじゃダメなんですよね。うちには特殊な病気をやっている子がいて、その専門病院にも行かなきゃいけなくて。
東京で普通にやってきたことが普通にやれない不便さがありました。実際に真鶴で生活してみたら。
ーー前回の取材で真鶴の家にお邪魔した際、大前提として車がないと大変な環境だろうな、とは感じました。
アンナ バスも循環してるけど、家はものすごい坂の上にあったので。
昨年、私の会社の登記のために法務局に行った際も、東京だと区役所や法務局は1か所に固まってるけど、真鶴は役場から1時間かかる二宮というところまで行かないといけなくて。
真鶴の役場もお昼の12時になると、パッと電気が消えて役場全体がお昼休みモードになるんです。そういう光景って東京にいる時には見たことなかったから衝撃で。
「ウォッシャー液」騒動で、娘に言われた一言
ーーそうした部分も“のどか”なのかもしれないですけど。
アンナ のどかですごく素晴らしいところだし、気持ちもいいんだけど「これだけ東京と違うのか」っていうのを感じてしまったことで、どんどん気持ちが。それに、正直、真鶴にいると自分が取り残された感はありました。ずっと窓から海を見ていても静止画みたいだから、自分まで止まっちゃうんですよ。
取り残されてる気がしたきっかけとなった、ある事件が起きたんです。コストコに行った帰り、国道135号線を走っていたんですよ。そうしたら前の車からウォッシャー液が掛かってきたの。
走りながらウォッシャー液を出すなんてことは、私は失礼だと思っていて、私は絶対にしません。洗車したばっかりだったから、すごいイヤだったんです。なんて失礼なんだろうと思って、そのことをSNSに書いたら瞬く間に炎上して。
「どうしてこんなことになったんだろう」って、異常に落ち込んだんですよ。普通だったら、落ち込んでもだいたい1日で回復するんです。ところが、1週間くらい経っても落ち込みから這い上がれなくて。
ーーその騒動は覚えています。去年の12月でしたね。
アンナ そうしたら、娘の百々果が「ママさぁ、私、言ったよね」って。「絶対に真鶴での生活はうまくいかないよ」って前々から言われてたんですよ。
百々果いわく、「視野が狭くなってるから、いろんなことを敏感に感じちゃうんだと思う」って。「東京にいても、ママはウォッシャー液をかけられたらきっと怒ってた。でも東京では、そういう目に遭ってもママはSNSには書かなかったと思う。そこが東京にいた時とは違う」「芸能人をやっていきたいんだったら、東京に早く戻ってきたほうがいい。じゃないと危険だよ」って言われちゃってね。