「皇居に向って敬礼」「死ね、お国の為に」「無所属廃人」……。目に飛び込むや否や緊張を強いられる文言が刺繍された“玉砕スーツ”をまとい、25年以上にわたってステージに立ち続ける芸人、鳥肌実(52歳)。
鳥肌氏が脚光を浴びるきっかけとなった1999年、日比谷野音での単独ライブ、演説芸が生まれた複合的な背景、玉砕スーツの秘密などについて、話を聞いた。(全2回の1回目/後編に続く)
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――毒炎会(講演会)で全国を回られてお忙しいなか、本日は誠にありがとうございます。
鳥肌実(以下、鳥肌) このような機会を設けて頂き感謝しております。本日は宜しくお頼み申します。
(ルノアールのメニューを眺めて)水出しアイスコーヒーをお願い致します。
――かしこまりました。では、インタビューを始めさせていただきます。
鳥肌 その前に、ひとつ訊ねたいことがあるんですが、よろしいですか?
――なんでしょう。
鳥肌 水出しアイスコーヒーというのは? 通常のアイスコーヒーとは何がどう違うんですか?(とメニューの該当ページを見せる)
――コーヒーの粉にお湯を注いで淹れるのがドリップで、ポピュラーな淹れ方になります。水で抽出する方法が水出しで、専用器具に入れたコーヒーの粉に水を注ぎ、ゆっくり時間を掛けてポタポタと落ちてくるものを溜めていきます。口当たりに関しては、ドリップに比べると柔らかく感じられるのではないかと。
鳥肌 なるほど。では、ドリップでお願いします。
過激すぎる「右翼芸」はいかにして生まれたか
――かしこまりました。2000年だったと思うのですが、『ニュース23』(TBS、1989年~)で日比谷野外音楽堂での毒炎会の模様が流されまして、鳥肌さんの演説を拝聴して大きな衝撃を受けました。この演説を始めるまでの経緯をお伺いできればと。