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子どもから「俺たちは見世物じゃない。こうやって晒されるのは嫌なんだよ」と…『石田さんチ』Pが悩んだ、取材拒否とヤラセ問題

『石田さんチ』プロデューサー・澤本文明さんインタビュー#1

2022/09/10
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放送終了後に必ずしていること

澤本 放送終了後に、必ず石田家の子どもたちに電話して感想を聞いています。「あんなところまで撮ってたの?」とか「あの表現はどうなんだ」と指摘されることもありますが、子どもたちの本心を聞くことは重要だと思っています。放送後に、子どもたちと顔も合わせられないような取材はするな、というのがお母さんからの教えなので。

 例えばケンカを煽ったり、後から編集で過激にすることもできるけど、それをやったら子どもたちとの信頼関係は崩れていく。

 激しい取っ組み合いの喧嘩をしていても、極力見守る。大怪我をしそうな危ないときは、止めに入りますが、それ以外の時はカメラマンとアイコンタクトしながら成り行きを見守ります。こういうことがお母さんの言う、「一緒に子育てしている」ということなのかもしれません。取材するなら責任を持ちなさいよ、と。

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――ということは、いわゆる「ヤラセ」のようなものはしていないと。

澤本 正直ディレクターとしては、視聴者が驚くような展開を期待したり、夫婦喧嘩や兄妹喧嘩を「おいしい」と思うことはあります。

 でも、これもお母さんに言われていて、「子育て優先だから、取材のために何かをしてくれと言われてもできない」と。だから僕たちは石田家という家族に密着して、その場で起こったことだけをカメラに収めている。家族旅行の日程なんかは相談してもらうことはありますが。

 

――だからこそ、我々は画面を通して普段通りの石田家を見ることができるわけですね。取材開始当初から、ありのままの石田家を見せようと意識していたのでしょうか。

澤本 もちろん最初からそう意識していたつもりですが、実際のところは大家族である石田家に期待してしまう部分もありました。でも、ある事件がきっかけで、そんな自分を大反省したんです。それが「ラーメン屋号泣事件」。

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