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お父さんからの初めての取材拒否

澤本 お父さんとお母さんは取材を受けるにあたって、相当覚悟していると気付かされた。取材が入ることで、子どもたちに何か変化があっても、「澤本さんが気にすることじゃない」って言われて。そこの腹の決め方はすごいなと思いました。

――では、お母さんやお父さんから取材拒否をされたことはないと。

澤本 実は1度だけあるんです。お父さんから「これ取材続けるの? できればやめてほしい」って言われたことがあって。

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 それはお母さんがガンになった時。お母さんが再検査の結果を聞きに行った日、僕はそれとは関係なく家族旅行の準備を取材するために石田家に行っていたんです。そしたらお母さんが帰ってきて、「私ガンになったの」って。

石田千惠子さん 撮影=山元茂樹/文藝春秋

 旅行どころか早急に手術しなければならない話になってしまって。それまでの一部始終は撮影していたんですが、話が一段落した時にお父さんから「これ放送するのか?」と。どうしたんですかと聞いたら、「ちょっと今自分も混乱しているから、取材はやめてくれ」と。

「放送するかどうかは相談しますから、取材側のエゴかもしれないけど、とにかく今しか撮れないことだから取材させてくれないか」と説得し、理解してもらって、取材は続けました。幸いにも早期発見で手術も成功したので、放送を快諾してもらいましたが、あれが後にも先にもないお父さんからの「取材拒否」でした。

 

 後から聞いた話ですが、お父さんは、今後家族がどうなっていくか分からない中で、万が一悪い方向に進んだ時は、自分が取材を断らなければという意識をされていたみたいです。取材を受けると決めた以上、自分が責任を担っているから、きちんと判断して家族を守らなければ、という強い意思を感じて。愛情が深い方だなと思いました。

――ちなみに子どもたちは放送による反響にさらされる部分もあると思いますが、そのケアはどうされていますか。