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子どもから「俺たちは見世物じゃない。こうやって晒されるのは嫌なんだよ」と…『石田さんチ』Pが悩んだ、取材拒否とヤラセ問題

『石田さんチ』プロデューサー・澤本文明さんインタビュー#1

2022/09/10
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次男が「俺たち、見世物じゃないんだからさ」と…

澤本 その事件が起こった1998年あたりは、まだ僕も「大家族=ハプニング」と思い込んでいて。それで子どもたちを外食に誘って、みんなでラーメンを食べに行くことになった。ラーメン屋に大家族が行くだけで何かが起こると思ったんです。

 すでに他局も含めて番組が放送されていたので、地元でも『石田さんチ』は人気で。繁盛しているラーメン屋で石田さん一家がわいわいやっていて、まだ赤ちゃんだった下の子が泣いたり騒いだりしているだけで、周りのお客さんが面白いものを見るような目で見るわけですよ。「ああ大家族の人たちだ」って。

 

「ちょっと面白い画が撮れてるぞ」なんて思っていたら、当時中学生だった次男が、「もっさん(澤本さん)さあ、嫌なんだよ。こうやって晒し者みたいにされてね、それを撮影されて。俺たち、見世物じゃないんだからさ」みたいなことを言ったんですよ。

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 ラーメン屋に行くなんてごく普通のことじゃないですか。普通のことなのにこっちは面白いと思って撮っていて。「もっさんたちは面白いかもしれないけど、俺たちは嫌なんだよ」って言われた時に、「実は石田家のことを何にも考えてなかったんだな」って思って、撮影を止めたんです。

 経緯を知らないお父さんとお母さんにあとで「こういうことを言われた。本当に申し訳なかったです」って説明してる時に、なんか泣けてきちゃって。大家族のことを何も理解してなかったんだなっていうのに改めて気づかされて。

石田晃さん

 でも、そこでお父さんが「澤本さん、そんなこと気にする必要ないよ」と。「母ちゃんと俺が取材を受けてやってるんだから。限度はあるでしょうけど、あなたたちは自由に取材していいんだから」って言ってくれて。そこでお父さんとお母さんの取材を受ける覚悟みたいなのもわかって、さらにグッときて号泣です。

――澤本さんが子どもたちの本当の気持ちを理解していなかったことと、取材を受けると決めた以上自分たちの責任だという夫妻の覚悟と、2つの気づきがあったわけですね。

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