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「もはや大家族ではない。いつまで取材を続けるべきか」…『石田さんチ』Pが考える、大家族番組の最終回〈今年お母さんは68歳に〉

『石田さんチ』プロデューサー・澤本文明さんインタビュー#2

2022/09/10
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 茨城県在住の11人大家族・石田さんチに密着した『7男2女11人の大家族石田さんチ!』(日本テレビ系)は、今年で放送から25年を迎えた。殴り合いの兄弟げんかや、反抗期の息子と母の壮絶なバトル、そしてお母さんとお父さんの夫婦漫才のようなやりとりなど、リアルすぎる家族の日常に心を掴まれた人も多いだろう。 

 今回、『石田さんチ』のプロデューサーである澤本文明(54)さんに、大家族番組を続ける難しさについて話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)

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大家族番組のナレーションに違和感があった

――『石田さんチ』の特徴として、比較的好意的に視聴者に受け入れられているという点があるかと思います。

澤本 確かに『石田さんチ』は、放送しても批判的な意見は少なく、わりと受け入れていただいているように感じます。

澤本文明プロデューサー

 僕らが石田家に巡り会う前は、大家族といえば家が散らかり放題とか、経済的にちょっと苦しいとかいうイメージがあって、とにかくいろんなトラブルを映すことによって視聴率を取るような描き方が主流でした。

 いろんな大家族の番組を見ましたが、ナレーションが中心の番組が多かったんです。お父さんやお母さん、子どもたちの気持ちをナレーションで代弁してしまう。僕自身そこに違和感があったので、ナレーションで代弁するのはやめようと。

 勝手に代弁せず、ちゃんと喋ってもらって、それをそのまま番組に反映していこうって思ったんです。おそらく、それによって見ている人たちは『石田さんチ』が作られてないものだと感じてくれているのかなと思います。実際、ナレーションがあればいくらでも脚色できてしまいますから。

 

 僕はそんなに番組作りにこだわりがないんですけど、ナレーションだけはこだわりました。それが今の『石田さんチ』のスタイルになってきて、受け入れられているんじゃないかな。

――澤本さんはもともと大家族ものに興味があったんですか?

澤本 どっちかっていうと偶然ですね。

『石田さんチ』より前は、警察の密着ものだったり、救急病院の密着ものだったりと、割とハードなものばっかりやっていたんです。このガタイなので、警察官と一緒にカメラを持って現場に行っても通用するから(笑)。