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二度の番組終了の危機

澤本 たまたま新番組の企画で、日本全国の名物おかあちゃんを特集するドキュメンタリー特番をつくることになって。その中で『石田さんチ』だけ毎分視聴率がグンと上がるんです。

 これは数字が取れるかもしれないと、2000年に初めて『石田さんチ』単体で2時間の特番を制作しました。『石田さんチ』単独の初回視聴率が20%。後にも先にもそれを超える視聴率は取っていないのですが、それから25年も続いているんです。

――人気があるから続けてこれたということですか。

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澤本 よくお父さんやお母さんから「いつまで取材を続けるの?」と聞かれます。「隼司(末っ子)が成人するまでは取材しますよ」と言っていたら成人して、次は「隼司が結婚するまでは」と言っていたら結婚して。その繰り返しでゴールがない。

 

 でも25年間ずっと人気があったわけではなくて、何度か終了の危機がありました。

 一度目の危機は自分のモチベーションの問題でした。子どもたちが成長すると、家はどんどん静かになっていく。いわゆるイベントごとやプチ事件も起きにくくなるんですよね。過去に10年間続いた大家族番組もやはりネタがなくなって終了しています。『石田さんチ』も開始10年くらいで「大家族番組として旬が過ぎている」と感じ始めました。視聴率は取れていたんですけどね。

 

 それを他社のディレクターに相談したら、「ドキュメンタリーとして誰もやっていない領域になりつつあるから、今は絶対にやめないほうがいい」「とにかく誰も見向きもしなくなるまで続けたほうがいいよ」って言われたんです。10年以上同じネタを取材し続けたディレクターなんてほとんどいなかったから。

 確かに、と気付かされて、いわゆる「大家族」の物語ではなく『石田さんチ』のドキュメンタリーを、という風にシフトチェンジして。個人個人の人生にスポットを当てていこうと。