文春オンライン

「もはや大家族ではない。いつまで取材を続けるべきか」…『石田さんチ』Pが考える、大家族番組の最終回〈今年お母さんは68歳に〉

『石田さんチ』プロデューサー・澤本文明さんインタビュー#2

2022/09/10
note

「『石田さんチ』は『サザエさん』に近いと思っている」

 それでモチベーションは保てたんですが、二度目は視聴率の危機。4~5年くらいで視聴率が落ちてきて、日テレ側が、「いつ終わりにしますか」とまでは言ってこないけれど「そろそろ……」という雰囲気を出してきて。そこでなにくそという気持ちもあり、何か新しい形で発信していきたいなと考えて、YouTubeを始めることになった。ヒカキンさんが始めたちょっと後くらいの時ですね。

 この低迷期を抜けたのは、若い方が見始めたからなんです。番組を始めたころは、40~50代の視聴者が多かったのですが、その子どもや孫が見てくれているのかなと。

 実際、他のドキュメンタリーと比較して10代の女性の数字が多いというのがわかってきていて。

ADVERTISEMENT

 

――若い方のニーズがあるんですね。いわゆる大家族番組の黄金時代(1990年代)と比べると、大家族番組も減ってきて、YouTubeなどでよく見られるのは、昔ながらの家族というよりは新しい家族ものだったりもします。その中で25年も続く『石田さんチ』が様々な世代の方に受け入れられているのはなぜだと思いますか?

澤本 家族の形がどんどん新しくなっていく中で、『石田さんチ』はいわゆる昔ながらの家族像ですよね。お母さんが専業主婦で、お父さんが働いてっていう。僕自身、それだと若い世代には刺さらないかもしれないと思ったことがあったんですけど、今は実写版の『サザエさん』だと思っているんです。

 

『サザエさん』って昔ながらの家族像で、お母さんのフネは常に着物を着て、いまだに家には黒電話がある。だけど、小学生から大人まで見て楽しんでいますよね。「家族もの」という外枠ではなく、磯野家を見てるから。『石田さんチ』も同じで、そういう「家族像」から切り離して単体として楽しんでくれているんだと思います。

 あと、昔からの視聴者は『石田さんチ』の子どもたちの成長を自分の子どもや孫のように見てくれる一方で、若い人たちは同年代の目線で自分や家族を投影しながら見てるっていうのもあるんじゃないでしょうか。