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「もはや大家族ではない。いつまで取材を続けるべきか」…『石田さんチ』Pが考える、大家族番組の最終回〈今年お母さんは68歳に〉

『石田さんチ』プロデューサー・澤本文明さんインタビュー#2

2022/09/10
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お母さんの実母の介護問題、そして夫婦の円満別居…

澤本 例えば、お母さんが末っ子の隼司の子育てが終わったと思ったら、次に実母の介護問題が出てきて。お母さんが介護に専念するためにお父さんとお母さんは円満別居。

 この前なんかは鬼怒川が決壊してしまって、石田家が床上浸水したんです。体の不自由なおばあちゃんを担ぎながら、お母さんは近くの公民館に避難して。その様子もカメラに収めていたので、実際に災害が起きた時にどうすればいいかの教訓にもなる。

 日本が抱えている社会問題みたいなのを割と体現している家族だったりもするんですよね。だからいろんな世代に刺さるものがあるんだと思います。

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――いわゆる「大家族もの」の枠組みとはだいぶ離れてきているのですね。

澤本 子どもたちもほとんど独立して、すでに大家族でもありませんしね(笑)。

『北の国から』(1981年に始まった、自然の中でたくましく生きる家族を描いたテレビドラマ。舞台は北海道富良野市)にも近いのかなと感じていて。『北の国から』では、純(主人公の息子)が上京するシリーズなんかもあって、もはや北の国の話ではないけど、純や蛍(主人公の娘)の成長が気になるから人気が継続するということじゃないですか。

澤本プロデューサーと千惠子さん 写真=山元茂樹/文藝春秋

『石田さんチ』も、お父さんの物語、お母さんの物語、長男の物語……と、個人の物語を見てくれているし、こちらとしても個人個人を取材している。

 昔の「大家族もの」のような刺激やハプニングを期待されていたのは最初だけで、今は、どういう成長をしてるか続きが気になる、っていう方が多いと思います。25年間やってきた中で、視聴者と制作者の感覚がマッチしてきたんじゃないかな。

――今年で放送開始から25年目の『石田さんチ』ですが、最終回はいつくらいか、すでに構想していたりするのでしょうか。