文春オンライン
ウクライナ国防省が「柴犬兵士」の雑コラに感謝を表明? 注目される「NAFOの戦争」とは何か

ウクライナ国防省が「柴犬兵士」の雑コラに感謝を表明? 注目される「NAFOの戦争」とは何か

2022/09/03

genre : ニュース, 国際

 例えば、ロシアが背景にいる工作アカウントがネットで「ウクライナはネオナチ政権である」、「ウクライナ政府は虐殺を行っている」といった、混乱や怒りを目的にした情報を流しているとしよう。そこにNAFOが馬鹿らしい柴犬のクソ投稿を投げつけて台無しにする。そこでもう、すべてがどうでもよくなる。それまでの流れをぶった切る、いわばちゃぶ台返しだ。

ロシア政府関係アカウントのツイートにリプライされたクソ投稿の一例

 混乱を目的とした情報に対し、まともに取り合う必要はない。むしろ、取り合わせることが、仕掛ける側の目的となっているのだ。だったら台無しにしてやればいい。無価値なクソ投稿によって、工作アカウントの努力も無価値と化す。ロシア政府関連アカウントのツイートのリプライ欄には、fellasによるクソ投稿が殺到していることも珍しくない。ロシア政府公式アカウントが長々と高説を垂れているところに、ロシアを強烈に皮肉るインパクトある1枚画像で殴りかかっているのだ。

NAFOの前例、ISISクソコラグランプリ

 このような運動、実は日本でも前例がある。筆者も過去に文春オンラインの記事で紹介したが、2015年にISISによって日本人2人が拘束、処刑される事件が発生した際、日本のネット空間ではISISが公開した動画を元に「ISISクソコラグランプリ」が行われた。

ADVERTISEMENT

「ISISクソコラグランプリ」(CNA報告書より)

 グランプリ参加者にそのような意図があったかは定かではないが、それまで残虐な手法により恐怖を引き起こしつつ、それを見栄え(slick)を重視した上で拡散し注目を集めてきたISISを、クソコラグランプリは徹底的に茶化すことになった。

 これはISISのイメージを毀損し、その影響力を弱めることに役立った可能性があると、アメリカのシンクタンクである海軍分析センター(CNA)の報告書の中で好意的に評価されている。

注目を集めるNAFO

 しかし、NAFOの手法は、はっきり言えばトロール、日本風に言えば「荒らし」である。無価値な投稿をくり返して、発言者や閲覧者のやる気を失くさせるトロールは、過去から現在も掲示板などのネット媒体でよく見られる。

関連記事