ウクライナ国防省が名前をあげて謝意を表明した組織の中には、NAFOという聞き慣れない組織が存在する。NAFOはもちろんNATO(北大西洋条約機構)のパロディで、北大西洋Fella機構の略だ。Fellaとは男性を意味するくだけた表現だが、兵士に扮した柴犬たちがFellasと呼ばれたことから、柴犬の兵士たちによるグループと解することができるだろう。
偽情報にクソコラで対抗するNAFO
そもそもNAFOとは何なのか? NAFOとはTwitter上の親ウクライナユーザーによる勝手連的な存在であり、ロシアのプロパガンダやトロール(嫌がらせ)に対抗するため、ロシアの侵攻開始後の5月頃に成立したと考えられている。
NAFOはこれまたインターネット・ミームとなった聖ジャベリン関連グッズの通販サイトでFellaグッズを販売しており、ウクライナでジョージア人を中核として活動する外国人部隊「ジョージア軍団」の資金調達も行っている。
では、具体的にロシアによる情報工作に対して、NAFOはどのように対抗しているのだろうか。柴犬コラを含め、ネット上のくだらない、クオリティの低い投稿はshitpost(クソ投稿)に分類される。貴方が日々、SNSで見かけるどうしようもない投稿、Twitterで言うとクソツイートだ。無価値にしか見えないクソな投稿。だが、無価値なことに意味がある。
政府などの組織によるネット工作には意図がある。ロシアの軍事思想に詳しい小泉悠東京大学先端科学技術研究センター専任講師によれば、ロシアの情報戦とは「人々の意識を180度変えるというより、何が起こっているのか分からなくしたり、怒りを掻き立てる方向性で機能している」という(BS日テレ「深層NEWS」8月24日放映)。