自分の人生を生きる、ということ
今は別の女性と結婚して子どもがいるという男性は、現在、母親と絶縁することを考えている。日本では法的に「実の親と絶縁する」という方法は存在しない。しかし、警察と行政に相談して「過去に親から肉体的・心理的虐待被害があった」などの事情がある場合は「住民票閲覧制限」などの支援措置を受けることができる。
DV等支援措置は、配偶者からの暴力、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者は、加害者からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」、「住民票(除票を含む)の写し等の交付」、「戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付」の請求・申出があっても、これを制限する(拒否する)措置を受けられる。
仕送りをしてもしても「寄付」のために宗教団体から金を吸い上げられ、母親の生活が一向に楽にならない虚しさに、男性は為す術がなく、絶望しているという。
「これから子どもが大きくなって学校に通うようになる前に、どうにかしなければならないと思っています。母親に住所を教えないようにしていても、血の繋がった家族である以上、照会されれば住所が知られてしまう。また信者の人たちが家に何度も押しかけてくれば近所で噂になるでしょうし、子どもが自分と同じように差別を受けるかもしれない。親として、それだけは絶対に避けなければならないと思っています。
もちろん、自分の母親ですから心が痛まないわけがないんです。本当につらいです。優しかった母親のことを思うと、母親が子どもから見捨てられて一人で孤独に死んでいくのかと思うと、苦しくて堪りません。でも、妻や子ども、結婚を許してくれた妻の両親には迷惑をかけたくないんです。
親と縁を切ろうなんて、私はやはり薄情な人間でしょうか。何も知らない人たちは、きっとそう思うんでしょうね」