日常系マンガ『地元最高!』(彩図社)の主人公・シャネルちゃんは、先輩のこはるさんを紹介される。こはるさんの家で仕事を手伝わされるが、それは違法植物の栽培で……。
シャネルちゃんや友達のちひろちゃんが暮らす地元の日常は、あらゆる悪に囲まれている。しかし彼女たちは、自分たちの地元から抜け出そうとはしない。作者のusagiさんはこう考えているようだ。
「『地元最高!』という言葉には、呪いのような側面がある」
地元しか知らないアウトロー女子たちの、抜け出せない“闇”とは何か。担当編集者の草下シンヤさんに聞いた。(全3回の2回目/1回目を読む)
◆◆◆
覚醒剤中毒者から「すえた匂い」がするワケ
──『地元最高!』のエピソードで、草下さんが好きなのはどれですか?
草下 シャネルちゃんの先輩・こはるさんが初登場する回ですね。
彼女は「酒と小便が混じった、風呂に入らない人のすえた匂い」がする人で。
これを読んだとき、まず「臭い」ってところで、すごい笑っちゃったんですよ。
──大五郎ならぬ、大三郎を脇に置くこはるさんですね。「臭い」に笑ったのは、裏社会ではそういう人が多いから、とかですか……?
草下 ええ。こはるさんは元シャブ中の設定ですが、覚せい剤をやってる人は、生活全般においてすごくルーズになるんですよ。
人生の全ての上位に覚せい剤がきてしまうので、約束を破るのはもちろん、歯も磨かないし、風呂も入らないとか……。自律神経がおかしくなるので、尿切れも悪くなるし。
──そういうものですか。
草下 私の実体験として、覚せい剤の重度依存者からは、酸っぱかったり、すえているような変な臭いがします。そのあたりがこはるさんにうまく表現されてて、めちゃめちゃリアルだなと思いました。
──でも、こはるさんはいろんなことがルーズなのに、クマのヘアピンは必ずつけてるんですね。
草下 そうそう。そこもusagiさんのキャラクターデザインのセンスが光る部分で。やっぱり女子なんですよ。男のシャブ中にはない部分ですね。