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“地元”のモデルは「どの都道府県にもある」

──それは関東圏外で?

草下 いえ、関東でもあるし、他の地域でもあります。どの都道府県にもある、県庁所在地ではないスラムっぽい場所、という感じです。

『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社

──読んでいて、将来の選択肢が少ない町なのかなという気がしました。

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草下 そうかもしれません。usagiさんは、「地元最高!」という言葉自体に、呪いのような側面があると思っているようで。

──呪いですか。

草下 冷静な目で見ると、シャネルちゃんやちひろちゃんをはじめ、マンガに出てくる全員が最悪な環境で生きてるんです。

 でも彼女たちは、生まれたときから地元にいるので、そこしか知らない。だから、本心で「地元最高!」と言ったり、自分たちのいびつな人間関係を大事にしようとします。

『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社
『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社

 そういう“無知の闇”のようなものを描きたいという気持ちが、usagiさんにはあるのではないでしょうか。

──「地元最高!」という言葉は自虐でもあるけれど、地元しか知らないから、肯定するしかない……という。

草下 ええ。地元には今さら発見もないし、それぐらいしか言うことがないんですよね。

 ところが、本人たちは気づいていないけれど、実は劣悪な環境、人間関係、しがらみなどにがんじがらめにされ、さまざまなものを奪われている。『地元最高!』は、そういう女子の“酷い日常系マンガ”です。

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