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──薬物依存から抜けるのも大変と聞きます。「おまえ一人だけ抜けさせない」という感じで、仲間から足を引っ張られると。

草下 そうです。常に誰かに見張られているようなもので、自分だけ抜けるのはとても難しいです。

裏社会の人間が「未来は考えない」エグいワケ

──3つめは何でしょうか。

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草下 特にネット社会になってから顕著なのですが、「社会の受け皿の厳しさ」です。

Ⓒ文藝春秋

──表社会の受け皿ということですか。

草下 ええ。罪を犯してニュースになったり、実名報道をされてしまうと、本人が思う以上に表社会での復帰が厳しくなります。Googleで名前検索して犯罪者だとわかれば、どこも雇いませんし、刑務所から出ても、そのことを明かすと雇ってもらえない。

 この3つの難しさが複合的に絡み合っていくので、一度でも犯罪の世界に足を踏み入れると、やはり抜けにくいです。

──そうですよね。シャネルちゃんたちの未来が見えないなぁと思いました。

草下 裏社会で生きている人間は、未来は考えてないですね。みんなギリギリで、明日とか明後日のことまでしか考えられない人もいます。

 というのは、毎日何があるかわからないんですよ。「今日警察に捕まるかも、同業者に襲われるかも、身内に刺されるかも」といったストレスとリスクの中であがいているので、非常に近視眼的になりますね。

『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社

──その生き方は辛いですね。

草下 はい。辛いです。でも、やってることがそもそも非合法だろうという。

「わたしも…いつかけいむしょに入りたい!」

──唯一、読んでいて救われるのは、彼女たちに“若さ”があるところかな、と思います。

 シャネルちゃんの妹・ココちゃんが「3食付きでお菓子も出るなら、刑務所に入りたい」と目を輝かせるシーンとか、悲しすぎますが……。

『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社
『地元最高!』 Ⓒusagi/彩図社

 その妹に対して、シャネルちゃんのこの返し。「ココちゃんはまだ子供だから、この先マトモになりますように……」と思いながら読みました。

草下 登場人物が全員50代のおじさんとかだと、このマンガ読めないかもですね。キツすぎて(笑)。