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「社会はかなり劣悪で底が抜ける手前ぐらい」アウトロー女子が“地元”を抜け出せない3つのリアル《裏社会のガチな掟》

『地元最高!』アウトロー系編集者インタビュー#3

2022/09/17
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──読みながら、ふと「シャネルちゃんたちが40代になったら、どうなるんだろう」と。

草下 それは……ちょっと恐ろしいですね。でも、彼女たちが今後、地元という《呪いの地》とどう関わっていくかは、ひとつのテーマ軸になると思います。

彼女たちはいつ「地元」の呪いに気づく?

──シャネルちゃんたちは地元を出るのでしょうか?

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草下 それはまだわからないです。彼女たちが地元社会の構造に、いつ、どう気づくかなんですよね。

©iStock.com ※写真はイメージです

──シャネルちゃんたちは、気づいて目覚めるのか。

草下 もし気づいたとしても、その後で動ける人と、動けない人に分かれるんですよ。

 だから、まずは気付けるか。そしてマンガの中ですが、実際に行動できるか。これからそのことを、キャラクターたちが考えていくはずです。

──行動できる人とできない人は、何が違うのでしょう?

草下 何かのきっかけで、「自分の未来には選択肢がある。地元で生きるだけじゃない人生もある」と、気づくとしますよね。

 でも、地元って《住めば都》なんですよ。それがある種、呪いでもあって。

──居心地がいいんですね。

草下 ええ。たとえどんなに悪い環境でも、そこには今、自分の居場所がある。そして、地元を捨てた後の未来は、どうなるかわからない。だから、未来の不安より現状を打ち破る勇気が勝れば、行動するかもしれないですね。

Ⓒ文藝春秋

 ただ、先ほども言ったように、裏社会の人間は一般人より、地元を出るリスクが高いんです。

 たとえば「先輩に追いかけられるんじゃないか」「地元を出たことで仲間に恨まれ、昔の犯罪を暴露されて逮捕されるんじゃないか」などですね。

 これらのリスクを振り切る勇気に、どこまで懸けられるかで、未来は変わるかもしれません。

ジャンキーな20代でも、「裏」に行かなかったワケ

──草下さん自身も、「20代前半まではジャンキーだった」とおっしゃっていますよね。多くの誘惑やしがらみがあったと思いますが、草下さんが裏社会の人間にならなかったのは、なぜでしょうか。 

『実録ドラッグリポート アジア編』 Ⓒ草下シンヤ/彩図社

草下 私も地方出身ですが、子供の頃から周囲にちょっと特殊な家の子が多かったんです。だから、普通に知り合う友達が裏社会の人間だったり。その流れで、高校生の頃からいろいろな遊びも覚えました。

 ただ、裏社会に触れる一方で、私は表現することにも興味があったんです。で、高校を出て今後どうしよう……というときに、どんなに綺麗事を言ったとしても、犯罪は人を痛めつけることだなと思いました。

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