中森明菜40周年。そしてついに再始動か――。ツイッターで個人事務所設立のお知らせが流れ、紅白歌合戦に出場か? という期待に満ちたニュースも流れ。それが叶えば最高に嬉しいが、いや待てもう少し詳しい情報を待て。落ち着け自分! そう深呼吸をしているのは私だけではないはずだ。

シングルのみ、24曲を歌った伝説のライブ

 ツイッターが盛り上がる前、中森明菜のすごさと人気を改めて知らしめたのが、NHKで放送された「中森明菜 スペシャル・ライブ1989 リマスター版」。これは1989年4月、デビュー8周年を記念して、シングルのみ、24曲を歌った伝説のライブだ。 

中森明菜(1994年当時) ©文藝春秋

 よみうりランドの野外ステージに、バンドと彼女のみ。衣装チェンジはあるものの、ダンサーもいないし、凝ったセットもない。それでも折れそうなほどに細い彼女が、圧倒的なオーラと歌声で、空間を圧倒していく様子に仰天した。

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 2曲目の「DESIRE -情熱-」で髪飾りを取ったので、アップにセットしていた髪の毛がふわふわ、ふわふわと形を崩していく。それを歌いながら直している姿さえ絵のようで、美しくて儚くてドキドキしっぱなし。いやもうバリバリにかわいい!

 時折彼女の背後から客席を映すアングルがあり、客席の視線とステージの近さをリアル体験でき、かなりギョッとした。彼女が怖いほど無防備に、むき出しのまま立っている感覚がしたのである。

 中森明菜というアーティストの凄さは思い出以上だった。まずは「ああ、懐かしいなあ」という感想が出るはずなのに、ものすごく新しいものを見た衝撃!

「中森明菜 スペシャル・ライブ1989 リマスター版」(NHKより)

「ザ・ベストテン」ランクイン回数は、松田聖子に続く3位

 このライブで24曲のシングルを嵐のように浴びた私は、「ザ・ベストテン」をもう一度観たくなった。

「ザ・ベストテン」と中森明菜のつながりは深い。100回以上ランクインは田原俊彦、松田聖子に続いて第3位、第1位を獲った回数は69回で、見事1位だ。

 彼女が活躍した1985年前後はスター揃いで、花の82年組と言われるアイドル勢はもちろん、安全地帯や杏里や中島みゆき、時には細川たかしなど演歌勢も上位争奪戦に食い込んで、観ているこちらももう大騒ぎ。耳と目が本当に忙しかった。