内臓をすぐに処理しても危険?
先日、サバを釣り上げて2日間内臓を処理しなかった結果、やはり多数のアニサキスが筋肉に侵入していた。内臓の処理が最優先されることは間違いないだろう。
ただし、釣りたてで即内臓を処理して海水氷締めをしても、筋肉にアニサキスが移行していたこともある。
口にする際は鮮度に油断せず、徹底した目視が必要になる。
生食文化の救世主も続々登場
これまでの話を聞いて、市販のお刺身でも不安になった方は購入を控えるのではなく、下記2点に注意するとアニサキスのリスクを極力回避できる。
(1)店員に確認して「冷凍(解凍済み)」の刺身を選ぶ
アニサキスが死滅しているため安心して食べられる。サーモン、マグロ、カツオ、シメ鯖などは、一度冷凍されている場合が多い。
(2)養殖魚と記載された魚を選ぶ
養殖魚=絶対安全とは言い切れないが、餌に冷凍物やペレットが使われている場合アニサキスを摂取しづらいので、こちらも比較的安心して食べることができる。
アニサキスのリスクを限りなく排除した、佐賀県の「唐津Qサバ」のような完全養殖の生サバも出回っている。人工ふ化させた仔魚を親魚に育てて、親魚から卵を採って人工ふ化させることで餌などを管理できるのでアニサキスが入る余地がない。また鳥取県のマサバ「お嬢サバ」は、完全養殖された稚魚を使い寄生虫がろ過された地下海水で陸上養殖しているため、こちらもアニサキスをシャットアウトすることに成功している。
電流を流してアニサキスを死滅させる技術も
養殖技術の向上で、私のようにリスクを負ってでも生サバを食べないといけない状況は減りつつある。さらに魚の切り身に電流を流してアニサキスを死滅させる技術も進んでおり、東京湾のトロサバがノーリスクで生食できる日も近いかもしれない。
アニサキスを過度に心配する必要はなく、正しい知識と対処法を身に付けることで鮮魚は美味しくいただくことができる。釣りをする人もそうでない人も、安全にお刺身を楽しんでください。
写真=ぬこまた釣査団(大西)