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 そして千秋楽を終えたら、しばらく腑抜けになる。安堵からくる脱力だ。

初日から千秋楽まではプレッシャーと緊張

 実際に公演が始まると、プレッシャーやら緊張やら蓄積疲労で、楽しむどころではない。過去の自分を恨むほどだ。 

 楽しい時間に比べて苦しい時間の長いこと長いこと。あの、初期段階の想像の中の楽しさは、この世に存在しないものなのだ。

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 想像の中の自分には、蓄積疲労がない。プレッシャーも緊張もない。現実とは全く違うものだ。

 分かってはいるが、想像の力は偉大だ。どれだけ大変な思いをしても、また公演を打つのだから。また1からぜーんぶやろうってんだから。

 モデルルームで素敵なインテリアに囲まれて、「こんなお部屋で暮らしたらさぞ楽しいわねえ」と夢を見るのに似ている。その夢は現実にはなり得ない夢だ。

 だってその夢の中の自分には、蓄積疲労がない。仕事のストレスもない。 

 

想像力は人を突き動かすガソリン

 結婚生活だってそうかもしれない。

 若い頃に夢見る結婚生活のイメージ。

 素敵なお家で素敵な旦那様と仲睦まじく生活する甘い新婚生活。 

 そこに蓄積疲労はない。隣人トラブルもない。

 排水溝に溜まる髪の毛もない。請求書の束もない。

 実際の結婚生活が始まったら、100の小競り合いを繰り返しなから価値観の違いをすり合わせていくことになる(うちの場合)。 

 蓄積疲労め!!!

 いや、そういう話ではない。

 この、楽しい想像力が、我々を突き動かすガソリンになっているんじゃないかと思うのだ。

 我々は、現実になり得ない、存在しない想像世界を追いかけ続け、そして走り続けるのだ。