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 噛みしめるように語る彼が印象的だった。実は2021年に発信された現代ビジネスのインタビューにも、TAKUROのこんな言葉が載っている。

「僕らとファンがコンサートで豊かな時間を分かち合えるのは、もう少し先になると思うので、今はみんなの生活の片隅に溶け込んで、ブランケットのような優しさと柔らかさを感じてもらえるような音楽になってくれたら嬉しい。今望むのはそれだけです」

 小さなやさしさと希望を運べたら――。

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 破壊ではなく「大切なものを守る」ことを強く感じるロックバンド、GLAYのメッセージは揺るぎない。

「GLAYは4人ともクセ強いから大変ですよ」

 すべてを4人で話し合い、4人で決め、「解散しないバンド」と自ら宣言する。「解散しない」はなかなかの覚悟がいる言葉だが、GLAYなら「マジで全然大丈夫そう」とシレッと納得できてしまう。

 今回のライブでも「あなたはどっち派」企画で、HISASHIが「GLAYのメンバーになるのと、GLAYのライブにずっと来ることができる、どっちがいい?」という質問をしたあと、念を押すように笑顔でこう言っていた。

「(メンバーになったら)GLAYは4人ともクセ強いですから大変ですよ」

©岡田裕介

 クセの強い4人がお互い会えたことに感謝する。そうして交差させる夢は、確かに途切れることがなさそうである。

 WBSのインタビュー後、大江麻理子キャスターがこんなこぼれ話を語っていた。

「天狗になったことはないんですか、と質問したら、『いや、よくある』と。でもそのたびに、メンバー同士『あの時の、あの態度はなかったよ』とワイワイ言い合うんですって。そういう耳の痛いことも言い合えるそういう存在が近くにいること、そしてそれを素直に聞けることが、ずっとこの方々を輝かせているのかも」。

 ああ、本当にそうだ。輪になって怒ったり褒めたり笑ったりして、話し合い奏で合う姿がありありと想像できる、それがGLAY!

 彼らの音楽が持つ、これからもきっとずっと生活の横にあり、寄り添ってくれる安心感。

 まさに「やわらかな風が吹く場所」がここにある。