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「配給された卵からヒヨコが孵化。救急車は呼んでも来てくれない」現地日本人が語った、中国ロックダウンの“ヤバさ”

「配給された卵からヒヨコが孵化。救急車は呼んでも来てくれない」現地日本人が語った、中国ロックダウンの“ヤバさ”

2022/10/04
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――病院まで閉めさせるというのはすごい話ですね。

高木 中国のやり方は徹底しています。あの国に何年か住んでいると、「まあ、そういうこともあるよね」と思うだけ。ロックダウンで病院にいけないために命を落とした人もいると思います。

ゴーストタウン化したロックダウン中の上海。(高木さん提供)

政府配給の卵からヒヨコが孵化する衝撃

――いっさい外出できないのなら、食べ物に困ったはずです。ロックダウン中の水や食料は政府が配給してくれたんですか。

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高木 配給はあることはあったんですが、2週間に一度だけなので、全然足りませんでした。しかも、配給される食料の衛生管理がいい加減だったりして、本当にメチャクチャなんです。

 これは僕が撮った動画なんですが、配給の物資を積んだ政府のワゴン車を見ると、住民に配給されるはずの卵からヒヨコが生まれていたんです。しかも、よく見たら、上段のトレーだけじゃなく、二段目のトレーの卵もヒヨコが孵化していた。

政府配給の卵からは、なぜかヒヨコが生まれていた(高木さん提供)
ヒヨコが孵化している様子を撮った動画(高木さん提供)

 

――衝撃的な動画です。こんなヤバい卵を政府が配給したんですか?

高木 「冗談だろ?」って思うじゃないですか。でも、中国ではこんな冗談みたいな出来事が普通に起きる。日本だったら鶏卵の生産・出荷・流通の段階できちんと衛生管理を行うのが当たり前ですが、中国はその衛生管理のプロセスがテキトーなんです。

――たしかに、どういう管理をしているのか謎すぎます。

高木 僕は上海にいたとき、中心地の浦西(プーシィ)で高級焼き鳥店の店長をしていたんですが、出入りする食品業者もかなりヤバかったです。豚肉を頼むと、きちんと処理されていない20~30キロの豚をスーパーの袋に入れて、小汚いヨレヨレのTシャツを着た業者が店の入り口にドンと無造作に置いていくんです。

 従業員も鶏肉のレバーを仕込んだ包丁とまな板で、平気でほかの食材を処理しようとする。いくら注意しても、見ていなければ何度も同じことをするんです。中国は食の安全に関しては本当にいい加減です。

ロックダウンが解除されて焼き鳥店に戻ると、誰かが敷地内で寝泊まりしていたらしく布団が放置されていた。(高木さん提供)