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「配給された卵からヒヨコが孵化。救急車は呼んでも来てくれない」現地日本人が語った、中国ロックダウンの“ヤバさ”

2022/10/04

 今秋の党大会で異例の3期目続投を狙う中国の習近平国家主席は「ゼロコロナ政策」を掲げている。その影響から、今年春に上海で実施されたのが「ロックダウン」だ。中国では新型コロナの感染が再拡大し、いまも各地でロックダウンが相次いでいる。

 しかし、「中国のロックダウンは日本人の想像よりもはるかにヤバかった」と証言するのは、6月まで上海に在住していた高木雅彦さん(仮名、39歳)だ。もともと高木さんは都内で飲食店を経営していたが、3年前に上海に渡り、中国人オーナーのもとで日本人ビジネスマンや中国人富裕層向け高級焼き鳥店の店長をしていた。

 いったい「上海ロックダウン」のどういう部分がヤバかったのだろうか。ロックダウンが解除された後に日本に帰国した高木さんに話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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救急車は呼んでも来てくれない

――上海のロックダウンは相当大変だったそうですね。

高木 2年前にイギリスやフランスでロックダウンが実施されたじゃないですか。欧州はロックダウンといっても、運動するための外出は認められていたし、生活必需品の購入や病院への通院などもOKだった。でも、中国はまったく違います。

 本当に家から一歩も外に出てはダメなんですよ。上海のマンションは敷地内にいくつもの棟があり、刑務所みたいに高さ3メートルの壁で囲われているんですが、入り口にバリケードが設置され、数人の警備員が見張っているので、外に出たくても絶対に出られない。マンションの敷地内を歩くことすら禁止されていたんです。

マンションの入り口に設置されたバリケード。(高木さん提供)

――じゃあ、コンビニに食料を買いに行ったり、持病のある人が病院に診察に行ったりすることもダメなんですか。

高木 事前に申請し、政府の許可を得ていなければ病院に行くのもダメです。そもそも、医師や看護師も家から出られないので病院自体がやっていません。救急車を呼んでもきてくれない。

 幸い僕自身の健康状態は良好で、ロックダウン中に体調を崩すこともありませんでしたが、持病のある人や臨月の妊婦さんなどはどうしていたんだろうと、人ごとながら心配になりました。