急速なスピードで超高齢化が進む日本。厚生労働省は2025年をめどに、高齢者の療養・介護を支援する「地域包括ケアシステム」の構築を掲げ、病院から在宅へのシフトを図っている。
この「地域包括ケアシステム」への移行は、メンタルヘルス領域でも目指されているという。
精神障害に悩む方々の在宅ケアに取り組む、精神科訪問看護サービス「コモレビ」は、そんな「地域包括ケアシステム」の一翼を担う事業者だ。サービスを立ち上げた森本真輔さんに、精神科訪問看護サービスの現状や課題、起業に至った背景を聞いた。
◆◆◆
目指すのは従来とは異なる精神科訪問看護サービス
──森本さんは2021年に「コモレビ」という精神科訪問看護サービスを始めました。普通の訪問看護とはどこが違うのですか?
森本 精神科訪問看護サービスは、医師の指示のもと、看護師や精神保健福祉士などの有資格者が、精神疾患を抱えている方やこころの健康を崩している方のご自宅などを直接訪問して、さまざまな角度から利用者さまの「ありたい姿」を実現できるよう支援するサービスです。通院治療を受けている方が対象となる保険適用のサービスで、精神科病院から退院された方が社会復帰までのサポートとして利用されるケースが多くなっています。
──精神科訪問看護サービスのニーズが増えている背景を教えてください。
森本 厚生労働省の調査によると、日本でいま精神疾患を有する患者の総数は、約420万人です。このうち約30万人が入院患者で、この数は諸外国と比べ突出しています。医療費削減と精神疾患患者のQOL向上のため、入院患者数減が目指される一方で、外来患者数が増加傾向にあるため、国が退院サポートを手厚くして、安心して地域社会で暮らせる人を増やそうとさまざまな施策を進めていることが考えられます。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、仕事や生活に不安やストレスを抱えている人が増えたり、うつ病を発症したりした人が増えたことも、精神科訪問看護サービスの需要が増えた一因とみています。