あの作品は、サッカーチームの選手役などでキャストがすごく多かったんです。マイクが3~4本あるなかで「ここでしゃべったら、次はこっちに行って……」とか、あっちに行ったり、こっちに行ったり、マイクワークだけでも考えることがありすぎて。
少年役だから、やっぱり自然に出せる声というわけでもない。主人公だから、もちろん誰よりセリフ量も多い。しゃべるのもいっぱいいっぱいで、1話のアフレコでは、キャリア13年で初めてというくらいのパニックになってしまいました。
そんなとき、翼くんのチームメイトの石崎くん役の高乃麗さんが「このマイク1本、きっちゃんにあげて」とみんなに言ってくれて、専用でマイクを使わせてくれたんです。先輩もいっぱいいらっしゃるなかで自分からそんなことはお願いできなくて、麗さんがそう言ってくださったことは一生忘れられません。おかげであっちこっちのマイクに動かず、セリフに集中することができました。
ずっと憧れていた少年役でしたが、毎回、自分の精いっぱいを出し切りながらも「楽しい」というよりは「必死で」役に向き合いました。
この役、私ですか? 思わず二度見したロベリア
ゲーム『サクラ大戦3~巴里は燃えているか~』のロベリア役は大きな経験でした。あの役は決め打ちのオーディションのような形で決まったんです。巴里華撃団花組の5人として、日髙のり子さん、鷹森淑乃さん、島津冴子さん、小桜エツコちゃん、私が呼ばれて、声を聴いてバランスを見るということでした。
そこで頂いた資料でロベリアの画と設定を見て、ビックリしたのを覚えています。
「巴里始まって以来の大悪党。懲役1000年」と書いてあって。二度見して「この役、私がやるんですか?」みたいな(笑)。