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・ICUの患者は、手術を担当した診療科が管理
・急変時はこれまでと同様、麻酔科と救命救急センターが初期対応
・東病棟4階の小児ICUの管理運用に変更はない

東京女子医大・心臓血管外科の手術(HPより)

 だが、板橋病院長はスタッフ会議で「ICUが安定するまでの間、リスクの高い症例は少し控えていただく」と発言しているのだ。

「大学病院のICUには集中治療の専門医が絶対必要」

 また、ICUの患者が急変した際は、基本的に集中治療科の医師が対応してきたという。麻酔科や救命救急センターの応援を仰ぐのは、難しい症例が重なった時のみで、年1回程度だと関係者は証言している。小児ICUは、主要スタッフが3月末で退職しているため、管理運用に変更はないという板橋病院長の説明には疑問符がつく。

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「かつては各診療科で管理していましたが、2014年のお子さんの死亡事故を受けてICUを集約化して集中治療の専門医が対応していました。それをまた各診療科で管理するのなら、8年前に逆戻りです。それにリスクが高い手術ができないなんて、大学病院ではない」(前出の60代・外科医)

9月から東京女子医大病院のICUに専門医は1人のみ(HPより)

 別の女子医大の外科医が実情を明かす。

「実は先日も手術後に患者が急変した際、集中治療医がいないために大変でした。予期しない合併症や基礎疾患の悪化はよくあるので、大学病院のICUには集中治療の専門医が絶対必要です」

理事11人と監事の3人に質問書を郵送。回答期限は9月24日

 約400人が賛同した「質問書」の4つの問いを要約した。

(*質問書の全文は最後に掲載)

(1)小児ICUの閉鎖と集中治療科の医師一斉退職の原因について
(2)ICUを維持できなくなった状況をどのように捉えて、どのような方法で再構築するのか
(3)重症患者の救命や高度先進医療は、今までと同様、リスクを負いながら進めるのか
(4)医師の働き方改革は、どのように進めていくのか

 この質問書は、岩本理事長をはじめとする女子医大の理事11人と監事の3人に郵送された。

 9月21日の夜、女子医大の管理職に『至急 説明会に関する周知のお願い』というメールが届く。翌日午後3時から、全職員に向けた説明会を開くという内容だ。質問書の有志代表7人のうち、5人が不在というタイミングである。

 大半の職員は当日朝に説明会の開催を知ったが、会場には入り切れないほどの人が集まった。そこで示された経営陣の回答に、怒りを顕にする職員もいたという。次回に詳しくお伝えしたい。(#9へつづく。近日公開予定)

岩本理事長らに送付された「質問書」
岩本理事長らに送付された「質問書」*一部加工