2006年度には83人だった臨床初期研修医が今年度は僅か13人
〈多くの診療科で研修医の若い力を必要としておりますが、とりわけ救急外来(EmD)では人員不足から当直を回すことが困難となりました。現在、上級医の献身的な実働により診療は継続されておりますが、このままの状況が続けば大学病院でありながら救急外来を閉鎖するという事態も予想されます。〉(質問書より)
女子医大の場合、2006年度には83人だった臨床初期研修医が、今年度は僅か13人(本院のみ)。その結果、「救急外来の閉鎖」が現実化しているというのだ。
加えて医師不足も深刻だ。5年前と今年を比較すると、女子医大の本院だけで131人も医師が減少している。そのため、救急外来だけでなく、夜間の病棟当直も破綻直前だという。
驚くべきことに、深刻な医師不足に直面していながら、丸義朗学長らは各教室(診療科)の定数制限を進めているのだ。
「現状報告」では、悲壮感すら漂う現場の様子をリアルに伝えている。
赤字経営は極端な人件費削減によるツケ
〈働き手の減少により外科系診療科は手術数を削減せざるを得ず、病院収益の悪化を招いております。また後者においても、新規採用はおろか現存スタッフの引き留めも難しく、医師はより過重なタスクを請け負わざるを得ず疲弊していっております。〉(質問書より)
公表された女子医大の2021年度決算は、約60億円の黒字だった。したがって、いま無理に人件費を削減する必要性は感じられない。人件費削減は、短期間で経営をV字回復させることは可能だが、長期的にみると組織のポテンシャルを下げてしまう“毒まんじゅう”だ。案の定、今年4月から本院の収益は毎月赤字が続いており、極端な人件費削減のツケが回ってきている。しかも今後、収益が改善する要素は何一つ見当たらない。
文春オンラインでは、女子医大の集中治療科に所属する専門医10人中9人が一斉に退職、9月からICUが崩壊状態になることを速報した(#5、#6を読む)。
報道を受けて、板橋道朗病院長は患者向けに「集中治療室の運営体制について」を公表している。これを読む限りでは、患者はICUが崩壊状態にあるとは思わないだろう。その内容を、以下に抜粋・要約した。