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 明らかにバタバタ動くというようなことは決してなく、数分から数十分かけてゆっくりと動き、気がつくと手足が上がっていたり腰が曲がっていたり捻れていたり……とさまざまな動き方をして姿勢が変化する。

 またぼくが見ていた限り、若い人ほどよく動き、ご年配の方ほど動きが少ない(または動かない)イメージだ。

元火葬場職員の下駄華緒さん ©石川啓次/文藝春秋

お骨が気をつけの姿勢になる理由

 火葬中にご遺体がゆっくりと動き変化するのだが、皆さんのなかでお骨あげのときの遺骨のイメージはどうだろうか?

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 だいたいは気をつけの姿勢で焼骨となって出てきていたのではないだろうか?

「うんうん、たしかにそうだった」と思われる方は多いはず。では、なぜ動くことがあるのに、お骨あげのときは姿勢が整っているのか?

 理由はおもにふたつある。

 ひとつは、火葬中のご遺体の姿勢を整えているため。

 デレッキと呼ばれる金属製の長い棒を、火葬炉に差しこんで、ご遺体が手を上げ出したら、デレッキで押さえて下ろす――というようなことをしている。

 全自動の火葬場もあるが、結局はこういったアナログな技術が要だったりする。

 ふたつ目は「整骨」。整骨と聞くと、整骨院が思い浮かぶと思うが、それとは別で、文字通り「骨を整える」ことを指す。

 これは、遺族さんに焼骨を見せる前に火葬技士が事前に確認し、少し焼骨の位置を整える業務だ。このときにあらかじめ喉仏を探す火葬技師もいる。

 つまり、火葬中も火葬後もご遺体を整えているので、火葬中に動いているにもかかわらず、気をつけの姿勢の遺骨になる。こういった火葬技師の努力によって、皆さんが普段目にするあのお骨あげの状態になっているのだ。