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滝沢 あとは、アルコールチェックがあるのも働いてはじめて知りましたね。

――運転しない清掃員の方もアルコールチェックが必要なんですか。

滝沢 ゴミ清掃員は半分公務員みたいな存在なので、住民の人に迷惑がかからないように、という意味らしいです。

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――他の公務員の人はアルコールチェックなんてしないのに、変な感じですね。

滝沢 でも、髪型は自由なんですよ。俺も前は金髪でしたし、年齢も国籍も不問なので60歳の新人が入ってくることもあれば、いろんな外国の人と一緒に仕事ができます。

「作業中にバットで殴られた清掃員がいます」

――いろんな方に門戸を開いていて、滝沢さんのように副業も可となると、体力さえあれば働きやすい環境にも思えます。ゴミ清掃員の仕事は人気ないですか。

滝沢 まあ、慢性的に人手不足ですよね。ゴミ清掃をやりたくてこの仕事をはじめたって人はほとんどいないですから。子どもの夢の職業ランキングにも入らないですし。

――10年間ゴミ清掃員として働いてきた滝沢さんは、そんな現状をどう思いますか。

滝沢 街が街として健康的に機能するには衛生的である必要がある。だから清掃って、ガス・水道・電気と同じで絶対に必要なインフラなんですよ。なのに、現状ゴミ清掃員は「底辺職業」なんて言われている。

 これはきっと仕事の大変さに対して賃金をはじめとした待遇が見合っていないという意味だと思うんですよ。それは保育士や医療従事者も同じだと思いますけど。

 

――「エッセンシャルワーカー」という言葉がコロナ禍で出てきましたけど、まさに今出てきた職業の皆さんがそうですよね。

滝沢 アメリカだと、5人の清掃員募集の枠に対して1000人くらい応募があるらしいです。年収1000万円くらいもらえるから、ゴミ清掃員は全然「底辺」扱いじゃない。

 まあ、進んでやりたい仕事じゃないにしても、絶対に必要な仕事であることは変わりないんだから、人件費の削減って不幸しかうまれないと思うんですよ。なので国や自治体は削減じゃなくもっと予算をつけないと根本的な人手不足は解消されないと思います。

 ただ、たしかにコロナをきっかけに向けられる目は変わった気はしますね。

――「向けられる目」とは具体的にどういうことですか。

滝沢 10年前にゴミ清掃をはじめたときは、あからさまな職業差別を受けました。ゴミ収集車が止まっていると渋滞になることがあるんですけど、後続車の運転手に「おい、ゴミ屋! 臭ぇから早くどかせや!」みたいに怒鳴りつけられるとかね、しょっちゅうでしたよ。

 俺は自分で自分のことを「ゴミ屋」って言いますけど、当事者以外がその単語を使うときって、相手を貶める意味が込められてますよね。

 あと昔、朝礼で「え~、作業中にバットで殴られた清掃員がいます」って上司が話し出したことがあって。

――めちゃくちゃ怖いですね。

滝沢 でも、清掃員のみんな「うぃ~す」って普通に聞いてるんですよ。それが「ナイフで刺された事例もありました」のときも「うぃ~す」だったから、どんな地獄だよと思いましたね。

 そんな10年前に比べたら、今は本当に変わりましたよ。