「出会い系」と何が違うのか?
職場や学校といったかつての出会いの場が失われた現代の若者にとって、マッチングアプリは結婚相手を見つけるためにもはや不可欠なツールになりつつある。
マッチングアプリが日本において爆発的に普及することになったきっかけは、本人確認の「認証」による安全性の担保にあった。インターネットを介して男女が出会うために活用されたものに「出会い系サイト」があるが、これは匿名で使うことができ、それゆえに犯罪やトラブルの温床となっている。
だが、前出のペアーズや世界規模で広がった「ティンダー」など、最近のマッチングアプリは登録時に公的な身分証の提示を求めるのが一般的になっている。前者であれば運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどを撮影し、最初に登録する必要がある。審査を通過して初めてアプリを使用することができるのだ。ペアーズは結婚・交際を前提としているため、自己申告ではあるが、既婚者やすでにパートナーがいると登録できないことになっている。
女性は原則無料(有料のオプションもある)。男性は有料で、細かく段階的に課金が求められる。課金は1カ月の契約なら3590円に加え、より充実した機能が使えるプレミアムオプションが提示されている(2022年6月現在)。男性が気になる女性に“いいね”ボタンを押して、女性から“いいね”が返ってくれば、その時点でマッチングが成立し、個別のやりとりができるようになるという仕組みだ。
ペアーズに限らず、マッチングアプリの多くが、女性ユーザーの利用料が原則無料だ。アプリの使用経験がない諸氏からすれば、男性だけが有料であることに違和感を覚えるかも知れない。だが、マッチングアプリは概して、男性に比して女性ユーザーが圧倒的に少ない。つまり女性にとっては“買い手市場”が常態化しており、一人の女性に数多くの男性からのアプローチが集中することはざらなのだ。男性側がアクションを起こしても、女性側からの反応がないという場合も少なくない。
ペアーズの運営会社「エウレカ」の社長、石橋準也氏が説明する。
「男女比のバランスを保つことはマッチングアプリの運営側がいちばん気遣わなければいけないポイントなのです。男女両方に課金をお願いすると、どうしても女性のユーザー数が減ってしまう。ペアーズでは今のところ、だいたい男性が55%、女性が45%という比率をキープしています。女性への追加の課金については、現状では考えていません」