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 日本を射程に置く準中距離弾道ミサイル「ノドン」は、冷戦時代に開発された短距離ミサイル「スカッド」をベースにしており、安定的な性能が確立されています。これは液体燃料推進型なのでミサイル発射が事前察知されやすいとされますが、核弾頭搭載可能と考えられています。

 北朝鮮はこれまでに短距離だけでなく準中距離、中距離、さらにはICBMも含む「火星シリーズ」弾道ミサイルの充実化を図ってきました。北朝鮮の核ミサイルが日本に着弾するというシナリオを、現実的なものとして想定して、対策を考えるべきです。

最新型弾道ミサイル

ミサイルをすべて撃ち落とすのは不可能

 小泉 北朝鮮がミサイルを日本に向けて飛ばした場合なのですが、日本の自衛隊は撃ち落とす能力があるのでしょうか。

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 山下 日本と北朝鮮の距離はかなり近いので、撃墜できるかどうかは時間との闘いになります。

 相手の撃ち方やミサイルの種類によって変わってくるかと思いますが、2016年、東倉里トンチャンリから発射された弾道ミサイルが沖縄上空に飛来するまでがわずか十分。日本の持ち時間はそれくらいしかないと見ていいでしょう。

 日本の現在の迎撃体制については、海上からはイージス艦、陸上からはぺトリオットミサイルの二段構えとなっています。弾道ミサイルは軌道が頂点に達すると、速度がゼロになる瞬間がある。そこを狙ってイージス艦からスタンダードミサイルで迎撃するのです。そこで失敗すれば、落下してくるところをぺトリオットで再び狙う。

 古川 私が危惧するのは、第一章で述べたロシアと北朝鮮の接近です。ロシアが国家として軍事支援に乗り出すと、北朝鮮の核・ミサイル開発は、今とは次元が異なるスピードで進みかねません。

 自衛隊のイージス艦

 核・ミサイル計画における北朝鮮の最大のボトルネックは、産業基盤の脆弱性です。彼らが固体燃料推進型の新型弾道ミサイルを開発しても、実際に固体燃料を大量生産できるだけの産業基盤がないので、現状では新型ミサイルの配備には限界があります。ミサイル開発には、大量の化学剤や特殊繊維、特殊金属、工作機械等が必要です。北朝鮮はこれら貨物を他国から不正調達してきましたが、ロシアが国家ぐるみで協力すれば、このボトルネックが緩和・解消される可能性が出てくる。

 もし北朝鮮が新型ミサイルを大量配備するようになると、韓国、日本、アメリカのミサイル防衛の負担が大幅に増えかねません。

 山下 自衛隊は万全の態勢をとっていますが、現状でさえ100%阻止できるとは断言できません。北朝鮮のミサイルが一発であればよいですが、ミサイルの数が増えれば話は大きく変わって来る。飽和攻撃で何発か同時に撃たれたら、対応が非常に難しくなりますね。