文春オンライン

東京から約半日…JR奥羽本線“ナゾのハチ公の駅”「大館」には何がある?

北の終着駅、秋田 #2

2022/10/17

genre : ニュース, 社会,

note

 日本でいちばん有名な犬は……と聞かれたら、何が正解なのだろうか。

 やっぱり個人的にはハチ公と言いたいところだが、タロとジロだという人もいそうだし、鹿児島の人は西郷どんとお散歩しているあの犬じゃないかと主張するかもしれない。ソフトバンクのCMの犬なんかも有名どころ。そんなわけで、意外と票が割れそうな気がするのである。

 ただ、“日本でいちばん有名な待ち合わせスポットは?”ならば、もうハチ公一択に違いない。いまどき携帯電話があるのだから待ち合わせ場所もへったくれもないのだが、やっぱりハチ公前はいつ訪れてもたくさんの人で賑わっている。

ADVERTISEMENT

 人が多すぎて、こんなところで待ち合わせなんてできるのかとすら思うのだが、渋谷の町中のどこかの雑居ビルの中の店を指定されるよりはよほどわかりやすい。そういうわけで、ハチ公は日本一有名な待ち合わせスポットの犬なのだ。

 そんなハチ公さん、来年2023年は、生誕100年なのだという。

実は秋田生まれの「ハチ公」

渋谷のハチ公像。ハチ公は2023年、生誕100年をむかえる

 ハチ公さんは1923年11月10日に生まれた。年が明けてすぐに渋谷に住んでいた上野英三郎教授のもとにお引っ越し。が、上野教授に飼われて1年ちょっとで教授が急死してしまう。新しい飼い主のもとを点々としたがなかなかなじめず、再び渋谷の近くに移る。そこからが“忠犬物語”のはじまりだ。

 来る日も来る日も渋谷駅前で上野教授の帰りを待つこと実に10年。実はただ焼き鳥屋のお客がくれる焼き鳥目当てだった……などという説もあるらしいが、正確性を追究する歴史の専門家でもないので野暮なことは言わず、ハチ公さんは当代きっての忠犬だったということにしておこう。

 そしてその忠犬ぶりが話題を呼んで、1934年にはハチ公像が建立。除幕式にはハチ公さんご本人も参加したという。そしてその翌年にハチ公さんはご臨終。ハチ公像は戦時中の金属供出で一時失われたが、戦後改めて再建され、いまもこうして人々の敬愛を受けているのである……。

 と、そんなハチ公の忠犬物語は今回の主眼ではない。ハチ公像は渋谷にあるものが唯一無二とばかり思っていたが、実はそうでもないらしい。

三重のハチ公像

 たとえば、飼い主だった上野教授のふるさとである三重県津市の久居駅前には、上野教授とハチ公さんがセットになった像が建つ。

 そしてもうひとつ、ハチ公さんのふるさと、大館である。

ハチ公は雪深い秋田県の大館で生まれ、大館駅から列車に乗って東京にやってきた

 ハチ公は秋田県の大館で生まれ、大館駅から列車に乗って東京にやってきた。その大館にも、ハチ公の像があるという。ふるさとのハチ公像なのだから、もうそれこそ本家本元のハチ公像。いったい、どんなところにあるのだろうか。