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 しかし、昭和も後半にさしかかると鉱山が衰退。それにともなって花岡線も小坂鉄道も廃止されてしまう。そうした中で、新たに大館が町のシンボルとして、ハチ公さんにお出ましを願ったということなのだろうか。

 もちろん秋田犬のメッカであることは鉱山があろうがなかろうが続いてきた歴史だが、ここにきて注目度を増しているのは事実だろう。

 いま、秋田犬の里の前にあり、かつては大館駅前にあったハチ公像、できたのは鉱山も衰退気味だった1987年のことである(ちなみに戦前にも大館駅前にハチ公像があったらしい)。例の「国鉄線」の中では、ハチ公さんについてはまったく触れられていない。

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 大館駅の周りを歩くと、小坂鉄道や花岡線の廃線跡があちこちに見られ、まさにかつての鉱山の町としての栄華を偲ばせる。長木川の南の中心市街地は、いかにも昭和の商業地といった感じなのに対して、それとは別に鉱山の町の大館駅周辺にも小さな市街地ができた、というべきところだろうか。

 

おや、なんだかどこかで見たことのある古い車両が…

 そしてその廃線跡も通る秋田犬の里の一角に、どこかで見たことのある古い車両が展示されている。

 

 東急5000系電車、通称“青ガエル”。渋谷駅のハチ公前広場に、ハチ公と向き合うようにして観光案内所として使われていたあの緑色の電車だ。それが渋谷駅前の再開発にあわせて大館にお引っ越しすることになり、2021年春から秋田犬の里で公開されている。

 青ガエルのお引っ越しは、もちろんハチ公さんがつないだ縁。ハチ公は大館から渋谷へ、青ガエルは渋谷から大館へ。100年の歴史を超えて、縁は縁を呼ぶのである。

 そんなわけで、鉱山鉄道の廃線跡を楽しみつつ、ハチ公の面影と秋田犬とのふれあいも楽しめる大館の町。長木川南側の中心市街地も、ザ・昭和の古い商店街があってそれはそれで味わい深い。花輪線東大館駅付近のスナック街も、日が暮れてから訪れたらなかなかおもしろそうだ。

 そして最後に、大館はきりたんぽに比内鶏と、グルメに関しても有名どころが揃っている(まとめて秋田名物感があるが、どちらも本来は大館のものらしい)。大館駅前に店を構える花善の駅弁「鶏めし」は、全国の名だたる駅弁の中でも指折りの旨さ、だと思っている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。