「観光バス業界はブラック。特に美杉観光は…」
「観光バス業界は全体としてグレーというかブラックな職場ですが、美杉観光は特に金銭面で厳しい印象ですね。よく、SA(サービスエリア)で休憩中の運転手同士で雑談するので、美杉観光には仲良い運転手さんもいるんですよ。でもみんな大変そうでね……。バス業界では多いですが、1日に2時間もかかる点検の時間を勤務時間に入れないとか、残業が固定額だとかね」
この他社バス運転手によると「ただでさえ旅行会社が企画するツアーはキツイ」。会社には定期収入が入るが、現場はその厳しいスケジュールに苦しめられるのだという。
「道路が混んでいて遅れようものなら、お客さんからは自由時間が減るとクレームを受けてしまいます。対応をするのはその場にいる私ら運転手です。なので、混雑が予想される日にはどうしても急いでしまいますね」
今回事故があったのは富士山の五合目からの下り道。場所により、急な下りもあるが関東のバス運転手としてはよく利用する道路だという。
「フットブレーキの多用による『フェード現象』が原因なら、坂によっては横転どころか転落してしまう危険もあります。なぜ逮捕された運転手はそのような基本的なことができなかったのでしょうか。
会見では、別の会社にも勤務して研修を経て春から観光バスを運転しているということでしたが、ちゃんとした坂道で研修をしていたのでしょうか。遠方での研修は金もかかるので、現場で慣れろという会社も少なくありません。
美杉観光の運転手さんは『うちは二種の免許があれば誰でも採用される』なんて嘯いてたことがありましたが、あながち大げさな話でもないのかな。バス台数をたくさん所有している会社なので、慢性的に運転手が足りないということはあったみたいですし」
厳しい労働環境に人材不足、“違反走行”の口コミの数々――。事故を繰り返さないために、真相を解明しなければならない。
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