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美杉観光バスの本社は東京都心から私鉄の急行に乗って約1時間、埼玉県飯能市にある。現地で取材したところ、美杉観光バスは地元でよく知られた企業のようだ。
美杉観光“やり手社長” 数年前に渋谷の豪邸へ
「美杉観光バスは、親の代まで細々とやっていた会社を、会見した現社長の吉田典弘氏が大きくしたんです。近隣市も含めて競合するバス会社が少ないので、地元の小学生はみんな遠足なんかで美杉観光に乗っているんじゃないですかね。クラブツーリズムのような大手のツアー会社の仕事もとり、いかにもやり手の社長という感じだね」(地元経済界関係者)
同社の支店は東京、京都、沖縄などにもあり、レンタカー事業なども幅広く行っているようだ。2022年3月期はコロナ禍ながら「東京五輪特需や新たな契約で大幅な増収を達成している」(同前)という健闘ぶりだ。
ただ、急拡大したという事情もあるのだろう。こうした“批評”も聞こえてくるのだ。
「地元でちょっとしたトラブルになった際に、非常に横柄な物言いをしていましたね。地元では『俺がいくつも支店を出した』と殿様のように振る舞っている。ひたすら利益を追求してきたというイメージですね。なので、本人を知っている私らからすると、会見でしおらしくしている様子は違和感がありました(苦笑)」(同前)
やり手のワンマン社長が豪腕で事業を拡大してきた。美杉観光バスにはそういうイメージがあるようだ。同社の登記簿を見ると、吉田社長の住居は飯能市から、2018年に目黒区の高級賃貸マンションに移り、現在は渋谷区の戸建て。近年、急速に“ステップアップ”している。
一方でその恩恵は現場にはもたらされていないようだ。同業他社でバス運転手をする男性が明かす。