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《大阪カラオケパブ刺殺事件》「確かに私は毎日、それなりの量のLINEを送っていました」宮本浩志被告(57)が法廷で繰り広げた50分間にわたる“独演会”の全内容

《大阪カラオケパブ刺殺事件》「確かに私は毎日、それなりの量のLINEを送っていました」宮本浩志被告(57)が法廷で繰り広げた50分間にわたる“独演会”の全内容

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2022/10/19

genre : ニュース, 社会

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 確かに稲田さんは、宮本被告が証言したようなことをいつも話していた。学費を稼ぐために、夜のカラオケパブだけでなく、昼間は葬儀屋で働いている、と。

「さらには自分のお店まで持ちました。夢を実現させていく実行力、そういう姿を見て、私は彼女を本気で応援しようとしていました。とりわけコロナの時期となり、売り上げがなさそうな日が続くのをみると、少しでもお金を落としてあげたかった。そう思って、できる限り行きました」

 4点目は店外に保管されていた、店舗の出入り口のカギが入ったキーボックスの話題だった。宮本被告は女性従業員から店外にカギを入れておくボックスの存在を聞かされていたが、ボックスを開けるダイヤル番号を知らないと説明した。

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 そして5点目は、防犯カメラの存在だった。宮本被告は昨年3月頃に、稲田さんから防犯カメラを設置する準備をしていると聞かされ、すでに店内に設置されていたことも知っていた。しかし事前に防犯カメラを調べた事実はない、型番も知らないと主張した。

「ごまちゃん」の店舗内の様子

 “独演会”が始まってから、この時点ですでに40分近い時間が流れていた。一方的な主張はいつまで続くのか――法廷内は不穏な空気に包まれていた。

自分がしたストーカー行為を他者にすりかえ?

 そして、最後に「被害者から聞いた話ですが」と断りを入れてから、稲田さんが以前にストーカー被害にあっていたという話を展開し始めた。

「彼女は10代の頃から実家の近くに部屋を借りて、一人暮らしを始めたそうです。その頃、バイトしていた先のお客さんにつきまとわれて、住んでいるところまでその人が来て、窓ガラスを割られたりして怖い目に遭ったと聞きました。その後、防犯カメラがついて、安全性の高い、レディースマンションに引っ越しました。なので事件当日、彼女がひとりになった時、そういう怖い目にあった経験から、店のカギをかけないわけはないなと私は思っています。第三者的に見た場合、検察はそこのところを証明していないんじゃないか」

宮本被告が身を潜めていたと見られる「ごまちゃん」のビルの外階段

 女性従業員が帰ったあと、店内にひとり残った稲田さんが店のカギをかけずに店内で過ごすわけがないというのが宮本被告の主張だ。

 数年前にあった稲田さんのストーカー被害については、筆者も稲田さんの関係者から聞いたことがあった。ある日、自宅近くのコンビニに寄ろうとしたら男性が待っていたというのだ。その男性は、宮本浩志被告である。

 まさか宮本被告は、自分が当事者の「つきまとい事件」を他人がやったことに置き換えて証言しているのだろうか……。