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「また、こんなことを言うと『反省していない』と言われますが、第三者的に見ると、(事件当日、被告が着ていた着衣の右ポケットの裏側に付着した)血痕の件も、上着のポケットの裏側……なぜあそこだけにしかついていないのか。なぜポケットの周辺には血痕がついていないのか。どうやったらあそこ(裏側)につくのか。その理由が分からないというのであれば、それは証拠として意味があるのか。逆に誰かがつけたのではないか。そんな証拠がひとつでもあると、他の証拠の信用性がなくなるのではないか」

亡くなった稲田真優子さん 友人提供

 法廷に満ちる怒気を知ってか知らずか、宮本被告の検察批判は続いた。

「証拠隠滅という言葉も、都合の良い言葉だなと思って聞いていました。証拠隠滅……裏を返せば、検察は証拠を見つけられなかった。捜査機関の不手際というか失態というか、それを隠すために証拠隠滅という言葉を使っているのかなと、第三者的に見れば思います。ある意味、残念だ……頼りないな、という思いが第三者的には感じています。不甲斐ない検察ですが……」

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 そこまで言うと一息はさみ、宮本被告はこう続けた。

「私は死刑を望んでいます」

 

「死ぬんやったら、最後まで自分で死んでまえや!」

 検察の捜査や証拠に疑問を提示したうえで、死刑を求めるという態度は矛盾しているように見える。そもそも死刑を求めるならば、まずは罪を認めるべきだろう。

 法廷内に漂う被告に対する憤りの感情が高まる中、大寄淳裁判長は閉廷を告げた。宮本被告に手錠と腰縄がかけられていた時、傍聴人のひとりが宮本被告に最も近い傍聴席最前列に歩み出て、怒号を轟かせた。

「死ぬんやったら、最後まで自分で死んでまえや! 社会がオノレを殺したるわい。よう覚えとけよ。お前のやったことやぞ。第三者の目で見たら、お前やねん」

 検察の無期懲役の求めに、裁判員はいかなる結論を導くのか。判決は10月20日の木曜日に下される。